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その際、九条からは相当な圧力をもって安全面で釘を刺された柳だが、再びの運転手兼護衛役に不満は無い。
普通ならば上司からの理不尽ともいえる暴力と圧力を受ければ精神的に苦しいものだが、旭狼会の組員はトップである九条に心酔している。
そんな組員達は信頼を勝ち得る為に再び頑張るだけで、誰ひとりとして不平不満を溢すことはない。
それは九条の組員への対応によるものが大きい。
九条はその見た目からも圧倒される存在ではあるが、その他には飴と鞭の使い方が上手く、先日ミスを犯した部下への制裁後の治療費はもちろん臨時でリフレッシュ休暇という名目でミニボーナスを与え、おまけに甘い言葉も投げ掛けている。
「ミスは俺への信頼で取り返せ。これからもお前を頼りにしている」と対面で言われてしまえば、忠誠心は増すばかりであった。
ヤクザといえばブラック企業の代表格ではあるが、旭狼会は裏家業を生業にする下っ端からすれば優良企業と言える。
その噂もあってか入りたがる者は後を絶たないが、元々父親の代から居るメンバーから選りすぐった者のみで、新規は受け付けていないが、唯一入って来た人物が居る。
それは眞山が直々に願い出た中瀬、ただひとりだった。
なので、柳はそれよりも前から居る中堅で、年齢も在籍年数も柳の方が断然上なのだが、唯一の新規組で眞山直々、九条の恋人の護衛役という点で中瀬の方がある意味上だったりする。
しかし、それを鼻に掛ける事もなく上下関係はきちんとしていて愛嬌のある中瀬を柳をはじめ他の組員も直ぐに認め、逆に弟の様に可愛がっていた。
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