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(鈴木さん…何で?) 「あっ、ごめんなさい!大丈夫?」 また悲しい気持ちに包まれかけた祐羽は、横を通りすがりの女性客にぶつかられて我に返った。 「はい、大丈夫です。こちらこそ。すみません」 謝りながら去る女性に、祐羽もペコペコお辞儀を返した。 そして立ち上がると、悲しい気持ちのままお尻をパタパタと叩いて埃を払う。 溜め息ひとつ溢して、それから手にしていたキーホルダーを思い出し顔を上げた。 (いけない、いけない。気にしない気にしない) そう言い聞かせながら祐羽は気持ちを切り替え歩き出した。 (前に九条さんが言ってたもんね。時間には限りがあるって。だからせっかくの文化祭。限られた時間は楽しく過ごすんだ!!) 九条の言葉と優しい顔を思い出し元気を取り戻した祐羽は、落とし物を届ける為に男の子の姿を探して校舎へと向かった。 ・・・・・ 「おまたせしました」 中瀬が漸く冷えて受け取った飲み物を手に戻って来ると、そこにはオロオロしている外崎がひとり居るだけだった。 一緒に居たはずの祐羽の姿が見えず、中瀬は全てを悟った。 「ごめんね、僕が電話で話してる間にいつの間にか居なくなってて」 「いえ、何も言わずに行ったアイツがいけないんです」 呑気な顔で(ちょっとくらいだから、いいだろう)と歩いて行ったのだろう。

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