976 / 1012

33

祐羽の性格や過去から、その時の様子と行動が目に見える。 「連絡しましたか?」 「入れたけど出なくて―…」 それを聞いた中瀬が再び連絡を入れてみるが、案の定留守電に切り替わる。 「ったく、どこに…。何分前から居ないんですか?」 「話し始めて始めの数分は居たんだけど…」 外崎は手にしているスマホの画面を確認する。 「中瀬君が戻って来たのは通話後で…十三分経ってるよ」 「結構時間経ってますね。戻って来ないってことは腹でも壊してトイレか?それとも足止めくってるのか…。さすがのアイツでも学校で迷子になったりはしないだろうし」 自分達を残して黙ったままひとり文化祭巡りも考えにくい。 「俺ちょっと教室行って、それから校舎グルッと探して来ます。外崎さんはここで待っててください」 「うん。分かった」 「もし祐羽が戻って来たら電話してください。出なくても着信残してくれてたら俺も戻るんで」 そう言って中瀬は歩き出したが、校舎とは逆に行ってしまった。 それから戻って来たかと思うと、その隣には男子生徒をひとり連れて来ていた。 見覚えのあるその顔はバスケ部員で、手には手作りの看板がある。 どうやら宣伝係りをしている生徒の様だ。

ともだちにシェアしよう!