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「占って貰えて良かったです。ありがとうございました」
再び頭を下げた祐羽に、湊が頬杖をついてニヤッと笑った。
「いえいえ、ドウイタシマシテー。恋人と仲良くしろヨ」
「はいっ!」
祐羽が元気に返事をしたと同時に廊下から聴こえていたBGMが切り替わりピンポンパンポーンと連絡チャイムが鳴った。
『大崎先生、大崎先生。至急職員室までお戻りください』と教師の呼び出しが行われたのだが、そこで祐羽は思い出した。
「ハッ!僕そういえば、外崎さんに黙って来たんだった!」
「そうなのか?」
「はい。早く戻らなきゃ!」
心配させているに違いない。
心配どころか迷惑かけているのは確実だ。
「校内はいいけど、外では黙って居なくなるなよ、ったく…二人の言うことはちゃんと聞けよ」
「そうですよね、気をつけます!」
「本当かよ?マジ迷惑だかんな」
疑いの目を向けられたが、目をキラキラさせて誠実な顔を見せる。
それに湊は益々目を細め無の感情をぶつけてきたが、祐羽には効かない。
「まっ、いいけどな。あ~そろそろ廊下空いたんじゃね?」
「本当ですか?!では、これで僕は失礼します!」
大変だ大変だと立ち上がった祐羽は、大慌てでドアへ向かい「えーっと、ありがとうございました!」と囚われの凛太郎へ頭を下げる。
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