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「手前が浅尾弟の大空(そら)、向こうが月ヶ瀬くんの学校の先生をしている兄の大海(ひろみ)大海―分かる通り一卵性の双子です」 「先生、双子だったんですね」 祐羽が驚いた顔でへぇと感心していると、浅尾兄が少し気まずそうに笑った。 「いや、本当に恥ずかしいよ。いっつもこんな調子で…会長申し訳ありませんでした」 「別にいい」 九条は気にしないと言ったが、眞山は厳しい顔をして双子を見た。 「別に良くないからな、お前達。大海は何の為に学校へ居る?」 「はい。目を離して申し訳ありません」 眞山の睨みに浅尾兄がキチッと頭を下げた隣で、弟がその様子をププッと口元へ手を当てて見ている。 「そして大空!お前はいつも余計な事をして迷惑かけるな。何でここに居るんだ?!それも月ヶ瀬くんを拉致みたいな真似をして冗談じゃ済まされない事もあるぞ!!」 「このバカ大空!!」 眞山の怒りに浅尾兄も改めてお怒りの頭ペチンを複数お見舞いした。 「に、兄ちゃん!悪かったってば、本当に下手すぎて痛いから止めて!」 自分の頭を庇いながら逃げる弟に満足したのか、兄は漸く叩くのを止めた。 「いや、でも本当に用があって呼んだんですよ。コイツがたまたま」 そう言ってチラッと祐羽を見た。

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