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祐羽がジーッと見ていれば、浅尾がフフンといった顔を見せる。 (う…)と息を詰めた祐羽の頭を九条が軽く撫でた後、浅尾に訊ねた。 「用がないなら帰る」 「あーっ!待ってください!!ちゃんと用ありますってば!!」 「会長に対して何だその口のきき方は」 慌てて車に近寄った浅尾を遮り眞山が睨みをきかせる。 「すみません!会長、お話が―」 「おいっ!!何をしてる!!」 若干下手に出た浅尾に九条が溜め息をついた瞬間、向こうの方から厳しい声が飛んできた。 (誰?) 祐羽が気になって顔を向けると、そこにはもうひとり浅尾が居た。 「えっ?!あ、浅尾先生…?!」 浅尾の後ろから現れたのは、どう見ても浅尾だった。 「大空《そら》!お前ここで何してる!?」 もうひとりの浅尾は怒った顔で駆け寄って来ると、元居た浅尾の頭を盛大に叩いた。 「イッてー、叩くの下手だからマジで痛い」 元居た浅尾は頭を両手で抱えると唇を尖らせ文句を垂れた。 「会長、眞山さん、本当に愚弟が申し訳ありません!!」 後から来た浅尾が愚弟と呼ぶ男の頭を押し、ふたりで頭を深々も下げた。 (ぐ、てい?) まったくさっぱり、どういう事か分からない。 首を傾げポカーンとする祐羽を大空がニマニマ面白そうに笑って見ている。

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