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浅尾の言葉に「う…」と声を漏らした自分を九条が何か言いたげに見たのは気づかず、祐羽は頭を垂れて反省した。 (僕、また迷惑を掛けるところだった。そうだよね。気をつけなきゃ) しょぼくれる祐羽をチラリと見た眞山が「だからと言って、荒療治にも程がある」 「あー…すみませんっ」 一応は謝る素振りを見せた浅尾だが、どうも心から思ってはいなさそうだ。 「お前は…。それよりも何でここに居る?仕事中だろう?」 眞山が怪訝な顔をして問い掛けた。 「いや、休みだし。学祭なんて久し振りだから楽しもうかと」 ピースする浅尾に眞山の眉がピクリと動いた。 「それに用があって呼んだんだろう?移動の途中だから寄ったが、こっちは暇じゃないんだぞ」 問い詰められた浅尾は「まぁまぁ。本当に気になった事がありまして。で、ついでに会長のご尊顔を仰いでおこうかなー、と」と調子に乗って両手を合わせれば眞山からゲンコツが落とされた。 「ふざけるな」 「あ痛《いて》っ!」 殴られた頭を両手で抑えて涙目で耐える浅尾を祐羽は唖然として見ていた。 (浅尾先生なんだかイメージが) 当初の浅尾は爽やかな優しいイケメンのイメージだったが、今の姿はまるでイタズラ大好きな子どもみたいだ。

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