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秘密と言われて素直な祐羽は、自動的に頷いた。
(先生が本当は九条さんの組の人ってバレたらいけないってことだよね?僕、別にしゃべらないけど、何でだろ?)
そこで祐羽はハッと理由に気がついた。
(そうか。公務員って確かふたつお仕事掛け持ちしたらダメって、どこかで聞いたことある!)
見当違いな解答に辿り着いた祐羽は、迷探偵らしくニマッとドヤ顔で口元を緩めた。
そんな祐羽のひとり百面相に双子は気づいたが、敢えて何も言わなかった。
「さて、戻ろうか」
「あっ、そうだった!中瀬さんと外崎さんが待ってたんだ」
すっかり保護者の存在を忘れていた祐羽は焦りに声を上げた。
「一緒に中瀬のところへ戻ろう。迷子になったら会長に怒られちゃうからね」
「じゃ、俺も!」
「いや、お前は帰れ。俺がふたり居たらややこしいだろ?」
当然のように着いて来ようとする弟をしっしと手で追い払う。
「はいはい。分かりましたよ、了解です。まぁ、俺はこれから組戻って時間調整して出直ししなきゃだし」
そう言うとスーツを脱ぎシャツ姿になった浅尾の弟は「じゃーな、迷子太郎」と祐羽に声を掛けるとサングラスを掛けて行ってしまう。
(にぎやかな人だったなぁ…)
祐羽は嵐の様な人物の背中を見送った。
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