1000 / 1012

23

(そうだ!お家で夜には会えるもんね) 「は、…はい!」 それだけで気分が浮上した祐羽は嬉しさに笑顔で返事した。 「気をつけて~」 九条の乗った車が去って行くのを見送る。 「じゃあな」と言って乗り込んだ九条を乗せ走り出した車は直ぐに左に曲がり、あっさりと祐羽の視界から消えてしまった。 余韻に浸る暇も無く消えた車にガッカリ感は大きい。 夜に会えると理解していても、やっぱり寂しくて、ついつい「あ~あ…」と漏らせば、後ろから同じように「あ~あ…」と聞こえる。 見ると浅尾が自分と同じように、しょんぼりと車の去った方を見ていた。 「兄ちゃん、もういいだろ?戻ろうぜ」 「うるさい!お前、いっつも眞山さんに迷惑かけて反省しろ」 そうしてギャイギャイ始めそうになったが、祐羽の視線に気がついてピタリと止めて姿勢を正した。 「あっ、えーっと、月ヶ瀬くん?ビックリしたよね?」 「えっ、はい。あのぉ、先生は九条さんの会社の関係の人だったんですか?」 祐羽がそう訊ねると、浅尾は頷いた。 「そうだよ。正確には会社じゃなくて、組の方なんだ―と、いっても一般人扱いでね」 神妙な顔でそう言った浅尾は、人差し指でシーッとしながら「これ、他の人には秘密ね」と囁いた。

ともだちにシェアしよう!