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第1016話
「今ねぇお母さん、ちょっとドラマの俳優さんの気分よ。息子に対してこういうセリフあるじゃない?」
フフフと笑いながら見てくる母に九条は若干の疲れを感じる。
昔からマイペースな母に自分のペースを掻き乱されてはきたが、相変わらずな発言に溜め息しか出ない。
「それより、こんなに朝早く来たってことは、何か用があったんだろ?」
できれば早く帰って貰いたいのが本音だ。
決して母を蔑ろにしているわけではない。
こう見えて家族の事は大切に思っているのだが、それとこれとは話は別だ。
家には祐羽が居る。
いい大人の息子が男子高校生を引っ張り込んでベッドに寝かせているのがバレれば、ややこしい事になりなかねない。
このまま帰って来れと内心強く願ったところで、母が「そうそう、急に来た理由だけどね、今日はお友達と会う約束しててて。時間まで少しあるから、ついでに息子の顔を見に寄ったのよ」
そう言いながら母が取り出したスマホの画面を見せて来た。
そこには最近オープンしたキャラクター『ぷいかわ』の世界観が再現されたテーマパークのホームページがあった。
「見てみてーっ、当選したのよ!友達と一緒に行ってくるわ。あーっ、楽しみ!!」
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