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「くぁっ…っ」
目を数回パシパシしてからなんとか意識を浮上させた祐羽は、隣に九条が居ない事に気がついた。
また朝早くから仕事でもしているのだろうかと思いつつ、昨日の疲れから再び目を閉じた。
(九条さん、ごめんなさい。僕はもう少し寝させていただきます)
ちょっと九条の温もりを求め、うごうご移動すると空になったシーツに鼻先を埋めて残り香を楽しみつつ二度寝に突入した祐羽。
そんな祐羽は昨日の記憶どころか、リビングでの異変に気づくはずもなく。
「ハァッ…」
ソファに座って珍しく溜め息をついた九条は、下ろしている髪をかきあげた。
その様子は世の女性達が目にすれば叫ぶか失神するかの色気だが、目の前の相手には通用しない。
ニッコリと優しく笑う中年女性が出されたミルクティーを口にする。
「休みの日に朝から急に来ないでくれよ、母さん」
母さんと呼ばれた女性は正真正銘、九条の実母である。
母・春子は相変わらずホワホワとした笑顔と口調で「おいしいわねぇ。お天気もいいし」と関係ない事を並べ呟いた。
「来るなら前もって連絡くれ。こっちも予定がある」
「あら。仕事以外に予定なんてあるの?聞いたことないんだけど」
「…」
九条は知らん顔で手にしていたカップを傾けてコーヒーを飲む。
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えっ『母さん』って言った? 祐羽は▪▪▪大丈夫なん? 更新ありがとうございます
続き待っていました!ありがとうございます!! いつも楽しみに読ませて頂いてます( *´꒳`* )