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act.7 Angelic Kiss 〜 the 3rd day 21 ※

潤んだ目を細めながらそっと挿し出された舌は赤く濡れている。まるで熟れた果実のようだ。 両腕で細い身体を抱きしめて、禁断の実を食むように口を開け、伸ばした舌先でそれをつついてみる。唇の間に舌を滑り込ませて優しく味わうと、ハルカは夢見るようにうっとりと目を閉じてしがみついてきた。 時折鼻に掛かった声が漏れて、俺の耳をいたずらに刺激する。粘膜の蕩け合う感触を愉しみながら、互いの身体に燻っている熱を高め合っていく。 掌で背中をなぞり、滑らかな肌を辿って再び下肢へと手を伸ばす。はち切れんばかりに硬くなったハルカの半身に触れれば、ねだるように腰を押しつけてきた。 深い口づけを交わしたままそこを扱いていくと、熱い吐息が口の中に流れ込んでくる。やがてハルカは苦しげな声をあげながら、もどかしげに腰を揺らし始めた。 「──ん、ふ…ぁ…っ」 「もう、イきそう?」 唇を離してそう囁けば、潤んだ瞳で俺を見ながら何度も首を縦に振る。握り込んだ手の動きを意図的に止めると、吐き出された溜息に悲痛な声が混じった。 「あ、や……ッ」 さっきハルカがしてくれたように、首筋に唇をあてて熱を帯びた身体を降りていった。 きれいな鎖骨のラインに舌を這わせて、胸の突起を口に含めば、それだけで掌に包み込んだハルカのものがビクビクと震える。 すぐに硬くなったそこを舌で小さく転がしながら、手の動きを早めて追い上げていく。 それだけの刺激では足りないと言わんばかりに細い腰が揺れるのをわざと肘で押さえつければ、いっそう切なげな喘ぎ声がこぼれ落ちた。 「あ、あぁ……っ」 「ハルカ、もうちょっと我慢できる? 焦らされるの嫌い?」 胸の頂きから唇を離してそんなことを言ってみる。ねちっこいオッサンみたいだなと心の中で苦笑してしまう。 そっと顔を上げると、頬を染めながらハルカは揺れる瞳でこちらを見つめていた。魅惑的な姿態はほんのりと橙色に照らされて、闇から美しく浮かび上がる。 「いっぱい気持ちよくしてあげるから」 そう口にすれば、期待に濡れた眼差しが甘く震えて俺の心に火を灯す。 ふと視線だけを動かして、すぐ傍にいるミチルの様子を探ってみた。瞬きさえ忘れて目の前の行為に見入っているミチルは、ハルカから視線を逸らそうとしない。その瞳に嫌悪の感情が浮かんでいないことに安堵する。 こうして愛し合っているときのハルカは、本当にきれいだ。時折恥じらいを見せながら伸びやかに快楽を享受するその姿は、神々しいほどに美しい。 気持ちいいことは、悪いことじゃない。互いを求めながらぬくもりを確かめ合うこの行為は、愛情を伝える大切な手段だ。 ハルカも俺も、それをミチルにちゃんと教えてやりたいんだ。 サイドボードからローションのボトルを取り出して、中身を手の上に垂らしていく。掌で転がすようにゆっくりと温めてからそっと指で掬い、肌に馴染んでいることを確かめた。 男同士で身体を繋ぐことが受け入れる側にどれだけ負担を掛けるものなのかはわからない。けれど、この行為でハルカが快楽以外のものを感じることがないようにしたかった。 濡れた指先でハルカの後孔に触れて、襞をゆるりとなぞっていく。窄まりは更なる刺激を待ちかねて小さく蠢いた。 ヒクヒクと物欲しそうに口を動かすそこに指を挿し入れていけば、何の抵抗もなくぬるりと呑み込んでしまう。ハルカの唇から小さな声がこぼれ落ちた。 「──ん、ぁ、あ……っ」 指は導かれるまま奥へと辿り着く。関節を少し動かすと、熱を孕んだハルカの内側が締めつけてくるのが気持ちいい。 早く繋がりたくて堪らない衝動を必死に抑えながら、探るように指の抽送を繰り返す。目を閉じて息を吐きながら、ハルカは与えられる快楽に身を委ねていた。時折焦れるように揺れる腰が艶かしく俺を誘う。 中の一番弱い部分が主張するように膨れているのを確かめながらそっと押してみれば、勃ち上がったハルカの先端から新しい蜜が溢れた。 「あ……、あぁっ、ん……ッ」 小さく身を捩るハルカを見つめながら、そこを集中して擦り上げていけば、伝い落ちる先走りが後孔を弄る俺の手を濡らしていく。 指への締めつけがきつくなってきた頃に薄い腹筋が何度も上下しているのを確認して、震えるハルカの半身にもう片方の手を掛けた。 そこを握りしめると無意識なのか、ねだるように小刻みに腰を動かしてくる。親指で先端に滲む蜜に触れれば、苦しそうな息の中で潤んだ瞳を向けながらハルカは俺の名を呼んだ。 「あ、タクマ、さ……」 「うん、そろそろイこうか」 もう破裂しそうに張り詰めたそれをゆっくりと扱き上げながら中を左右に揺すっていけば、ビクビクと指が一際強く締めつけられる感覚がした。 「……あぁッ、あ……あァ……!」 その瞬間、俺は奇妙な達成感を覚えていた。 俺がこの手で高めていった身体が、特有の甘い香りを放ちながら美しく華やかに咲き誇る。 ハルカは幾度かに分けて先端から白い蜜を放っていく。その光景を純粋にきれいだと感じた。 辺りには熟れた果実の匂いが充満していた。酔いそうなほど芳しいその匂いを吸い込んで、俺はハルカと作り上げたこの愛おしい世界に身を委ねる。 身体を前に倒してハルカに覆い被さり、乱れた呼吸の邪魔をしないように、目尻にそっと口づけた。

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