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act.7 Angelic Kiss 〜 the 4th day 12 ※

うっすらと開いた目を覗き込む。硝子玉のように煌めく瞳に吸い込まれて顔を近づけ、視線を絡ませながら柔らかな唇をそっと食んでみた。 大切な甘い果実を堪能したくて、下唇を優しく啄ばみ、舌を出して舐める。ハルカは目を細めてそんな俺をうっとりと見つめたまま小さく吐息をついた。 合わさる唇から想いがこぼれ落ちてしまわないように、深く口づけて腕を伸ばし抱き合う。しっとりとした肌のぬくもりに融けてしまいそうだ。 深い海の底をゆったりと揺蕩うように、緩やかなキスをただひたすら繰り返す。 願わくば、この世界が終わる瞬間まで続けていたい。けれどそれは叶わない。 濡れた唇が離れていく。ハルカは俺の目を覗き込んで小さく笑った。 「唇が腫れちゃうかもね」 その微笑みには少年のあどけなさが浮かんでいて、思わず見惚れてしまう。一欠片の悲しみも存在しない、優しい表情だ。 ハルカ、そんな顔もできるんだね。 もう一度軽く口づけてから、耳朶にそっと唇を滑らせる。そこを軽く食んで柔らかな弾力を味わってから、首筋を辿り降りていく。鎖骨をなぞってくすぐり、胸の頂きを舌先で転がすと頭上から吐息混じりの喘ぎ声が聞こえた。 感じやすい身体を労わるように、時間を掛けて丁寧に触れていく。 舌と指先を使って上半身を愛撫し、ふと視線を落とせば硬く勃ち上がったハルカの先端はうっすらと蜜を纏い濡れ始めていた。 「……あ、あっ……」 紅潮した頬に手を伸ばすと、柔らかな肌が心地よい熱を持っているのがわかった。 「ここだけでイけそうだね」 胸に息を吹きかけてそう言えば、ハルカは焦れたように腰を揺らして快楽を訴える。 少しでも気持ちよくなるように、胸から更に下へと身体を啄ばみながら降りていく。蜜の滴るそこを右手で握り込めば、ハルカは小さく身じろいだ。シーツに細やかな波ができる。 ドクドクと脈打つ半身は、先走りですっかり濡れてしまっている。 皮膚の表面を撫でるように扱きながら、内股に舌を這わせた。送り込まれる刺激は緩やかなもののはずなのに、ハルカは何度も足先でシーツを擦って切迫した声を漏らす。 「あ、あ……っ、ん……」 目線を上げれば必死にかぶりを振って訴えてくるハルカの顔が目に入る。快感に流されまいとするその姿が堪らなく扇情的だった。 「タクマさん、もうイきそう……」 消え入りそうな声で恥ずかしげにそう言うハルカの半身は小刻みに震えている。先端から溢れる体液に指で触れて円を描くように広げれば、ハルカは目を閉じて浅く速い呼吸を繰り返しながら俺の髪に指を絡ませた。 「ダメ、まだ」 「まだ、何?」 そこを包み込むように握りしめたまま身体を起こし、耳元でそう囁く。華奢な身体を震わせながら、ハルカは目を閉じて吐息混じりに訴えた。 「まだ、もったいない……」 そう口にして、唇の端で笑ってみせる。昂ぶる熱が身体中を廻るその感覚を、愉しんでいる。ハルカの口振りからはそんな印象を受けた。 唇を軽く啄んでから喉元に口づける。柔肌に軽く吸いつけば、握り込んだそこがまた小さくヒクついた。 こんなわずかな刺激で達しそうなぐらい感じているのに、まだ駄目だというんだろうか。 「困った子だね」 顔を覗き込んでそう呟けば、ハルカは恥ずかしげに笑った。うっすらと開いた瞳がこちらに向けられて、視線が交わる。 どうにも不思議な気分だった。 俺は実らなかった初恋相手の身代わりとして、ハルカを抱こうとしている。けれど目の前に存在するのは間違いなくハルカだ。その認識はあるのに、羽山朋未の面差しをしたその顔を見ると、郷愁の想いが湧き起こる。頭の中が混然として、うまく整理がつかない。 俺は一体誰を抱いているんだろう。 「ハルカ」 その名を呼んで、昂ぶりを緩く握り込んだままそっと唇を重ねる。舌を挿し込んで咥内を優しく掻き混ぜ、熱い吐息を閉じ込めながら唾液を交換するように貪るうちに、ハルカの腰が小刻みに震えていく。 ゆるゆると何度か扱いていけば、くぐもった声と共に掌の中のものが収縮を始めた。 「──んん、あ、ぁ……っ」 唇を離せばそこから掠れた声がこぼれ落ちる。仰け反る白い喉元に唇を押しあて、強く吸いながら快感の余韻を引き出すように手を上下させた。 「あ……、気持ちいい……」 弛緩した身体をベッドに預けたまま、目を閉じてハルカはそう囁いた。小さく上下する胸を軽く啄ばみ、濡れた額を優しく撫でる。 このままここに縛りつけておきたい。誰の目にも触れることのないように。 そんな馬鹿なことを思ってしまうぐらい、腕の中のハルカは本当にきれいだった。 ぺたりとへこんだ腹の上で艶やかな光を放つ白濁を指で掬い取ってから、腕を伸ばしてハルカの後孔に触れる。 それを捕らえようとするかのように腰が動いた。小さな窄まりは指先にあたる度に物欲しげにヒクつく。 「──ん、ふ……っ」 貪欲に快楽を得ようとするのがまたかわいい。汗に濡れて額に貼りつく前髪をそっと掻き分けて、言い聞かせてやる。 「ちゃんとあげるから、ね?」 浅く呼吸しながらこくりと頷く。その表情は小さな子どもみたいに無垢だ。 額に、頬に、耳に。啄ばむようなキスを繰り返しながら、少しずつハルカの中に指を挿れていく。 「あ……、あ……っ」 熱を籠らせたそこは、吸いつきながら与える刺激を呑み込んでいく。奥まで入ったところで緩く抜き挿しを始めれば、ハルカは身じろぎをしながら息を詰めるように与えられる快楽に堪えて眉根を寄せた。その顔があまりにも色っぽくて、見惚れながら中の弱い部分を擦り上げていく。 濃く立ち込め始めた甘く香しい匂いを吸い込んでから、首筋に舌を這わせて軽く吸う。 「──ん……ぁっ」 時間を掛けながら大切に少しずつ愛撫を続けていくうちに、官能の花はゆっくりと開いていく。 快楽に融けるその姿は、艶かしく美しい。うっすらと目を開けたところを口づければ、腰を揺らしてそれに応えてくれる。勃ち上がるそこは蜜を纏い、キラリと光を反射した。 「ああ、イきそ……」 掠れた声に煽られてくすぐるようにその部分を押し上げれば、ハルカは上擦った声を漏らしながら下肢を震わせて果てた。 「……あぁ、……ァ……ッ」 肩で息をしながら両腕を伸ばして抱きついてくる。熱く濡れた身体を抱きしめながら、そっと耳元で囁く。 「好きだよ」 その言葉に頷きながら、ハルカは合わさる肌を愛おしむように抱き返してきた。 「タクマさんも、気持ちよくしてあげる……」

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