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第1話
初恋は小学生の頃に済ませたとばかり思っていた。
それが間違いだったのかもしれないと気付いたのは、高校に入って直ぐの事。
「やっべ、遅刻だ! ――っ」
いつものように近道をする為、秘密の抜け道を通りぬけようとした時、校内で一番大きな桜の木の前に自分と同じ制服を着た生徒が一人立っていた。
突然吹きあげた強い風に舞い散る桜吹雪の中、その子と目が合って心臓が一際大きく跳ねる。
陶器のような白い肌に漆黒の髪。柔らかく微笑み会釈をする姿に目が離せない。
一目惚れなんて自分だけは絶対にしないと思っていたのに――。
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