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おまけ

 目を覚ますと自分は自宅のベッドに寝かされていた。  恐ろしい夢を見た気がする。大きな女の怪物に犯される夢だ。きっと疲れているのだろう。だからそんな奇妙な夢を見たのだ。  吉良はゆっくりとベッドから起き上がる。全身が痛い。筋肉痛のような痛みが走る。そしてなぜか肛門に違和感がある。 ────まさか、あれは夢ではなかったのか!?  吉良は一瞬ゾッとしたが、そんな思考を振り払った。そんなわけがない。あれはきっと夢に決まっている。あんな非科学的な現象が起きるわけがない。  眠い目を擦りながら寝室を出て、リビングへ向かう。 ────なんだこの匂いは?  食べ物の美味しいそうな匂いがする。  意味がわからない。この家には自分しかいないはずだ。それに自分は自炊などしていないし、昨晩この家で食事をとってもいない。悲しいことに、飯を作りにきてくれる恋人も友人もいない。  そろりそろりと廊下を歩き、リビングのドアを開けた。 「な……」  机の上には、スクランブルエッグ、トースト、サラダなど、とにかく美味しそうな朝食が並んでいた。  吉良の頭の中はパニックになる。さっき述べた通り、家に食事を作りにくるような人間などいない。  ────いったい誰が……  人の気配を感じはっと顔をあげる。 「ポポポポ(おはようございます)」  あの夢の中の女が、目の前に立っているではないか。  吉良は目を丸くした。 「ポポ(今日からお世話になります)」  ぺこり、と女が頭を下げる。  ひと呼吸おいて、吉良の叫び声が、マンション中に響き渡った。  とりあえず、朝食はとても美味かった。

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