33 / 33
第34話
その夜夏からラインがきた。
加藤に話しをつけたから、今度の土曜日のお昼過ぎ使えると! やった!ワァオ~緊張するなぁ……下調べ下調べ、
そりゃ念入りに為ないと……必要なものは~なんだ? ネットを見ていたら~興奮して眠れなくなってしまった。
翌朝~眠い目を擦りながら、いつもの場所へ行くと、夏の目が真っ赤だ。
「どうしたの? 目?」
「夕べ興奮して眠れなかったっの。
幸だって物凄く眠そうだけど?」
「俺は勉強為てたの!」
「幸が勉強? 嵐がくるよ!」
「へへへ~土曜日の下調べだよん」
夏は恥ずかしそうに俯く。
なんだよ! 可愛い! キュンキュンする。お~いいなぁ~この表現。キュンキュンするぞ! 俺は!
「楽しみだね……夏?」
黙って頷く夏。
堪らないんだ。肩が触れあうだけで。
腕を軽くぶつけ合い、手の甲が当たるだけで。
それだけで胸が痛くて。苦しいんだよ。
友達が声をかけてくる。
でも……歩調はふたりのリズムを崩さない。ギリギリまで離れたくないんだ。
唐突に言葉だけが絡み合う。
「じゃっ」
「じゃっ」
今日も始まるんだ。
君を探して、君の声に振り向き、
君の瞳を見つめる。
好きなんだ……理由なんてない。
俺たちは始まったばかりだ。
気づいたら……ただ、ただ。
好きになっていた。
終わり
ともだちにシェアしよう!