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第33話 素直な気持ち

 俺たちは、美智也から何本かのDVDを借りた。 「初心者向けが良いよねっ」 美智也~お前も初心者だからな! 夏! うんうん頷くなよ! 家の柴のゴンみたいだぞ~  美智也は俺たちと別れて急いで、 加藤の部屋に向かった。  夏はDVDのパッケージをマジマジと見ながら、俺の顔をのぞき込見ながら、 「幸~これいつ見る?」 確かに、借りたは良いけどそんな場所無い~ 「う~ん……どうする?」 「おっ~良い考えがあるよ! 真咲の部屋借りる!」 「無理だろ? 加藤と一緒に見るの?」 「違うよ~その時は美智也くんと外でデート為て貰うんだよ!」 「そんなに上手く行くか?」 「行かせるよ! 僕の頼みなら聞いてくれるから~大丈夫!」 俺は半信半疑でとりあえず、夏に任せることにした。  夏が俺の制服の袖を摑み立ち止まる。 「幸~全部はさ~高校に行ったらねっていったけど~僕は為たいなぁって思っている」 ゲッ! そんな~急に言われても うんなんて答えられるのか? 「そんなに困った顔しないでよ……嫌だ?」 「嫌な訳ないだろう~ばかだなぁ」 俺は、人目の無い路地に夏を引っ張っていくと、思いっきり抱き締めた。 「好きだよ……夏」 夏は俺の唇をそっと指で触てくれる。 そっか……この気持ちなんだ。 堪らなく夏が欲しい……欲しい…… 理屈なんか関係無い。抱きたいんだ!本当は今すぐにでも全部欲しい…… 夏のすべてが欲しい。 「夏、加藤の部屋ぜったい借りて!」 「どうしたの? 勿論! 絶対借りるからね」 ああ~ああ~抱きてぇ。 ああ~ああ~抱きてぇ。 夏~好きだ~好きなんだよ!

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