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「先輩っ!」 「こんにちは、ライトくん」 昼休み、大好きなグレイ先輩のもとへ一直線。 相変わらずのサラサラなびく髪。 素敵な笑顔も健在で、本日もなによりなにより。 「さっきアレックが食堂にいたから、今もいるかもしれないよ。 行ってみるといいかもね」 第一声は変わらず攻略対象者のこと。 こんなに会いにきてるのにな、まったくナイスアシストだぜ。 ーーだが、今日の僕はひと味違う。 「そうなんですね!なら、一緒に行きませんか?」 「……え?」 アイデアを振り絞りいろんな角度から攻めてみた。でも途中で話を遮られたり逃げられたりと、どうにも普通に会話するのは難しい。だから諦めた。 そして、思いっきり方向性を変えることにした。 ーーイベントに巻き込んでしまえば、先輩と話ができるんじゃないかと。 「いつも気になってたんですよねー教えるだけ教えて去ってっちゃうの。それ、結構不親切じゃないですか?」 「……あ、えぇ…っと……」 きた、崩れた。 「どうせなら案内してくださいよ!そもそも僕食堂行ったことないんです、大勢いる場所で食べるの緊張しちゃって。 先輩と一緒なら大丈夫かなって……迷惑、ですか?」 勢いでグイッと腕に巻きつき見上げると、慌てたようにワタワタしだす。 多分、いけるはずだ。 だって主人公が困ってる。アシストするのがモブのはず。 だから、きっと…… 「…ううん、迷惑だなんてとんでもない。僕のほうこそ確かに不親切だったね、ごめん」 腕を解き、優しく笑う先輩。 「それじゃあ、行こうか」 (き、ききききき) キターーー!!やっとだ、遂にきた! 始めからこうすればよかったんだ!! アシスト機能を逆手に取り、長く一緒にいる。 そりゃイベントだから攻略対象者は付いてくるけど、会話に先輩を入れたりみんなで行動したりすればいい。 そしたら、自然と先輩との距離も縮まる……はず! どうせこの機能からは逃げられないんだ。 うまく付き合わなくて、どうする。 (ま、攻略対象はオマケみたいなもんだ!) 僕攻略する気ないし。 精々先輩と会う場を作ってもらうとしよう、頼んだぞ。 そうして、案内が終了し「それじゃあね」と去っていくのをなんとか留めさせ、攻略対象と同じ席へ座らせることに成功。 見事イベントに巻き込み、この日初めて一緒にお昼を食べることができた。

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