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後日談2 リハビリの話 1
【side リシェ】
「ほら、リシェ様頑張ってください!もう少しですよ」
「はぃっ」
両脇には長いポール。
グッと力を入れ、なんとか一歩一歩進んでいく。
大分身体が回復し、最近リハビリが始まった。
身体に負担がかからない程度に少しずつ。
まずは歩くことからで、専用のポールに掴まり練習している。
担当の医師は優しいながらも厳しく指導してくださる方で、本当にありがたい。
「リシェ頑張って!ゴールすぐそこだよ!」
ゆっくり進む僕に、隣から声援をくださるロカ様。
「僕も適度な運動が必要らしいから一緒に歩いてもいい?」と、初日からずっと付いてくださってる。
ロカ様のお腹は、目に見えて大きくなってきた。
性別は産まれてからの楽しみにしておくらしい。
出産までまだまだ日があり、ゆったり過ごされてるみたい。
(ふふ、楽しみだなぁ。きっと可愛らしいんだろうな)
世継ぎとしての使命を抱えなければいけないけど、僕らがしっかりサポートできたらと思う。
まずは、どうか健やかに産まれてきて欲しい。
(そういえば「最近陛下の過保護さが増した」って噂に聞いたけど、どうなのかな……?)
普段からロカ様を溺愛されてるのは知ってるけど、過保護さが増すっていうのは一体どんな感じなんだろう?
単純に普段の倍? それとも何か待遇面の変化とか?
まだその姿を見れてないから全く想像がつかないーー
「うゎっ、」
「リシェっ」
ガクッと身体がぐらついて、ポールにもたれかかるように座り込む。
「大丈夫ですか?」
「ぁ、はいっ」
近づこうとする医師に笑って手を振った。
(いろいろ考えるのは後だって)
まだちゃんと集中しないと足の力が抜ける。
雑念は置いといて、今は自分の身体に向き合わなければ。
真っ直ぐ前を見るとゴールまで後4〜5歩ほど。
既に何回か折り返しており、あのゴールまで行けば今日は終わりだ。
(もう少しだ……よしっ!)
「立てそう? 手伝おうか?」
「大丈夫ですよ、ありがとうございます」
一緒に座ってくださるロカ様にお礼を言い、ぺたりと床についた足へ再度力を入れる。
(もう少し…もう少し……!!)
ゴールはもう、すぐそこーー
「リシェ」
「っ、ぇ、わぁ!」
ふわりと身体が浮き、慌てて後ろを見ると長身の姿。
そのまま、肩車をするように逞しい肩へ座らされてしまった。
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