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「はぁぁ、いっぱい話しちゃった。 付き合ってくれてありがとう、無理してない?」 「大丈夫です」 あれからいろんな話をしてたら大分時間が経っていて。 そろそろお暇しようと話を切り上げる。 今日1日でかなり打ち解けられた。 これからもっともっと仲良くなれるといいな。 先ずは、しっかり回復しないとね。 「僕を庇ってくれたこと、この国を守ってくれたこと、本当にありがとう。 王妃としても、感謝します」 「そ、そんな全然っ。僕は僕の為にしたことなので……」 「そうだとしても、リシェのおかげで未来は救われたよ」 セグラドルも、この国の民も、陛下や僕だって。 ーーそして 「わっ、」 グイッと取ったリシェの右手。 それを、僕の〝お腹〟に持っていく。 「…………!! まさ、か……………」 「うんっ、そのまさかだよ」 呆然とするその目から、ボロリと涙が溢れた。 「僕や〝この子〟を守ってくれて、本当にありがとうっ」 つられて出てきた涙をグイッと拭いながら、心からの感謝を伝える。 まだごく一部の人たちしか知らない秘密事項。 けど、リシェには真っ先に伝えたかった。 ポロポロ泣く姿を「泣かないで〜」と抱きしめながら、ゆっくり目を閉じる。 この国は、もう大丈夫。 世継ぎの子は、僕の腹の中に宿った。 だから、次は僕らの未来について考える時間を少しとってもいいと思う。 僕らは、僕ららしい人生を歩いていきたいと思う。 目に浮かぶのは、楽しそうに庭を駆け回る自分の子。 きっとリシェにも宿るであろう子どもは、この子にとってもかけがえのない存在となるだろう。 そんな幸せが溢れる日々を、願ってーー 太陽が少し傾いてきた医務室で 僕ら2人は、静かに抱きしめあっていた。 〜fin〜

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