24 / 48
4
「はぁぁ、いっぱい話しちゃった。
付き合ってくれてありがとう、無理してない?」
「大丈夫です」
あれからいろんな話をしてたら大分時間が経っていて。
そろそろお暇しようと話を切り上げる。
今日1日でかなり打ち解けられた。
これからもっともっと仲良くなれるといいな。
先ずは、しっかり回復しないとね。
「僕を庇ってくれたこと、この国を守ってくれたこと、本当にありがとう。
王妃としても、感謝します」
「そ、そんな全然っ。僕は僕の為にしたことなので……」
「そうだとしても、リシェのおかげで未来は救われたよ」
セグラドルも、この国の民も、陛下や僕だって。
ーーそして
「わっ、」
グイッと取ったリシェの右手。
それを、僕の〝お腹〟に持っていく。
「…………!!
まさ、か……………」
「うんっ、そのまさかだよ」
呆然とするその目から、ボロリと涙が溢れた。
「僕や〝この子〟を守ってくれて、本当にありがとうっ」
つられて出てきた涙をグイッと拭いながら、心からの感謝を伝える。
まだごく一部の人たちしか知らない秘密事項。
けど、リシェには真っ先に伝えたかった。
ポロポロ泣く姿を「泣かないで〜」と抱きしめながら、ゆっくり目を閉じる。
この国は、もう大丈夫。
世継ぎの子は、僕の腹の中に宿った。
だから、次は僕らの未来について考える時間を少しとってもいいと思う。
僕らは、僕ららしい人生を歩いていきたいと思う。
目に浮かぶのは、楽しそうに庭を駆け回る自分の子。
きっとリシェにも宿るであろう子どもは、この子にとってもかけがえのない存在となるだろう。
そんな幸せが溢れる日々を、願ってーー
太陽が少し傾いてきた医務室で
僕ら2人は、静かに抱きしめあっていた。
〜fin〜
ともだちにシェアしよう!