【わたしは、あなたを許します。】 ［side 唐草(カラクサ)］ 『見て見て、王子様がいる』 『本当だ！今日もキラキラしてるねー』 全寮制の、中高エスカレーター式男子校。 その高等部の今年の生徒会長は、とにかく輝いてていつもみんなの人気者だ。 申し分ない学力と完璧に整った顔、身長も高くてモデルさんみたい。 でも、1番は性格。 びっくりするほど優しくて穏やかで、まるで物語の中から出てきたのかってくらい絵に描いたような人で…… (で、付いたあだ名が〝王子様〟なんだよね) 「王子様」だの「王子」だの、本名関係なく学園中がそう呼んでる。 そんな王子様は、〝誰か〟を探していることで有名。 どんな人を探してるのか……一体何があったのかは誰も知らなくて。 ーーでも、 (もしも、〝あの時〟のことだったらなぁ……) ポソッ 「なんて、ね」 そんな夢物語を思い浮かべながら 今日も、離れた場所から大きな額縁眼鏡越しに彼を眺めています。