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24.白い花

金網に付いたのは橘の持ってたティッシュで拭いて、その奥に飛んじゃったのは、残ってたいちごオレで流して綺麗にした。 綺麗に……なってると思う。 きっと、誤魔化せてると思う……。 それに、もし残ってても誰のかってまでは分からないから、全然大丈夫!オールオッケー!! 先生達も、DNA検査してまで犯人捜ししないだろうしさ。……しないよな!? ……うん、余計な金が掛かっちゃうからしないハズ。 まあそんな感じで事後処理を済ませ、5時間目終了のチャイムを待って、俺たちは屋上を後にした。 橘のベタベタのち○こ、舐めて綺麗にしてあげようか?って俺の申し出は、なんでか勢い良くお断りされた。 残り少ないティッシュで懸命に拭き取るぐらいなら、綺麗にしてから唾液を拭き取るだけのが楽でいいと思うのに。 あんなコトしといて今更恥ずかしがることないのにな~。(←舐められたら簡単に復活してしまうからだとは夢にも思わない子) でも、階段下りる時に伸ばした手には、すぐに気付いて優しく握り返してくれた。 男同士で手なんて繋いでたら皆から変な目で見られるかもしれないのに、俺に淋しいって思わせないよう躊躇しないところが男らしい。 やっぱり橘は優しいヤツだ。 照れの基準はよくわかんないけど。 2年の教室がある3階まで下りた時、ちょうどこっちに歩いてくる隣のクラスの林田と目が合った。 去年おんなじクラスだったヤツ。 つい視線を下げると、こじんまりとしたモノが目に映った。 「うぉっ、ポークビッツ…!」 「はっ!?なに!?なにっ!?」 モロ出しの小さき物を両手で隠し、ひとり大騒ぎの林田。 …そうか。あれが極小ってサイズか……。 コイツ、野球部で結構ガタイもいいのに、可哀想に…… にしても見たくないもの見せられちゃったから、橘の御神木で口直しならぬ目直ししよーっと。 「周防……」 「ん?……はっ!」 橘に窘めるように名前を呼ばれて、ハッと思い出した。 コレ、視えてないのが通常だった。 「なに!?なんで周防がそんなことっ…!?」 ……だよなぁ。 林田、今まで必死に隠してきたんだろうなぁ。 可哀想に、プチパニック。 「あー…、いやぁ…」 口篭って苦笑いしか出来ないでいると、 「林田の事情は1年の時から周知の事実だから、気にするな」 橘がすかさずフォローを入れてくれた。 ナイス!カレシ様! 「そうなの!?……そりゃ、橘はデカイからそれなりにあるだろうけどさ…」 なにやらブツブツゴチャゴチャ言い出した。 めんどいヤツめ。そんなだからお前のち○こはちっちゃいんだ。 「それなりにじゃねーよ。すンごいぞ、橘のは!御神木レベルだから拝んどけ。ご利益あるかもだぞ、ビッツ林田」 「ビッツ言うな!お前はこっち側の人間だろうが!」 「むーっ!俺レギュラーサイズだもん。ハッピーセットじゃないも~ん」 「誰が子供サイズだ!俺のがハッピーセットならお前のもハッピーセットだ!」 「周防のは、鈴蘭の花のように清純で可憐だ。お前のと一緒にするな」 「じゃあ俺のもスズランだ!」 すずらんって…… なんか急におかしなことを言い出した橘を見上げる。 優しい目を向けられ、頭をナデナデされた。 すずらんってさ、あの白い花だろ? いっぱい咲くヤツ。 白くて、確かに清純で可憐なイメージかも知んないけどさ…… 「ちっちゃくない!?」 「なら、純白のチューリップでどうだ?」 「……とにかく白いワケな…?」 「清純のイメージカラーって、白じゃないか?」 「………」 橘って、何気に変なヤツ!

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