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それなりに交流があったであろう2人。けど出かけるほどには至ってないという。
少し静かな間があった後、斎藤が俺に呟いた。
「かわしーは、ひびやんのどんなとこが好き?」
体がびくっと反応した。改めてそんなことを聞かれると……顔が熱くなってきた。
「えっと……正直、一目惚れなんだよな。綺麗な顔してるし、いちいち動作が上品だし。それで、話しているうちに、やっぱり変わっててミステリアスだけど、たまに人間味があるというか……色んな表情を見てみたいって思って……。結局、全部好き、って感じかな……」
胸に溢れてる想いを打ち明ける。口にしてみて自分でも恥ずかしくなってきた。どうしよう、斎藤に気持ち悪いって思われてたら……。
それを聞いた斎藤は、声を上げて笑った。
「かわしーってさ、可愛いよな」
「かっ、かわい、い……!?」
「うん。素直でわかりやすい」
「……っ、バカにしてるだろっ!」
「えー、違うよ〜」
あたふたする俺の肩をポンポン触り、なだめてくる斎藤。俺が可愛い?そんなわけあるか!斎藤はニヤケ顔を真顔に戻し、俺を見つめた。
「かわしーは真面目で真っ直ぐなやつだよ。自己主張が激しくなくて、人の話もしっかり聞くし。で、アニメとか漫画好きっていう意外な面もあって。そこがいいところだと思う」
「……あり、がとう……」
急に褒められるとムズムズしてしまう。恥ずかしいけど嬉しい。斎藤が俺をそんなふうに見てくれてたことが。
「ひびやんもかわしーのそういうところが好きで、気を許してるんだと思うよ。2人で話してるとこを見てて、なんとなくそう感じた」
そう言うと、斎藤は穏やかな笑みを浮かべた。
「かわしーなら、ひびやんの心を呼び戻せるだろうな」
「えっ……」
「俺の勘。中学の頃からの付き合いだしな!」
言葉の意味がよくわからない。斎藤と日比谷。あまり接点がなさそうに見えて、過去に何かあったのかな。俺の知らない時代。謎に包まれている日比谷。中学の時の日比谷はどんな性格だった?いつも学校で誰かと喋ってた?成績はよかった?もっと知りたいと思うのに、しつこく聞くのは気が引けた。
「でも、日比谷に恋愛感情とか、あるのか……?」
「そこは、かわしーが猛アタックして教えてやらないと!」
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