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玄愛《炯side》8
それから8ヶ月が過ぎ、高2の終業式の日。
山田が学校終わってからうちに遊びに来たいと言い出した。
俺の部屋に荷物を置いてすぐに告白された。
俺はかなり驚いていたと思う。
「冗談だろ?」
「冗談じゃないよ。本気で好きなんだ」
山田の声が震えている。
その気持ちが本気だと伝わってしまうくらいに。
それならもう、
傍にはいられない。
突き放すしかない。
「ならもう、俺に近づくな」
やっぱりな、という顔で山田は俺を見つめた。
それと同時に涙が溢れていた。
「こんなに…好き、なのに…大切なのに…」
やめてくれ。
前みたいに「冗談だよ」って言ってくれ。
なんで俺なんだよ。
お前がいたから雅彦が死んだことを受け入れて、立ち直ることが出来た。
2回も救われた。
一番失いたくない友人なのに。
何でよりによって俺を好きになるんだよ。
山田の涙は止まらない。
「俺は山田を大切だなんて思ったことは1度も無い」
泣いている山田に容赦の無い言葉を突き付ける。
「俺はお前を好きにならない。同情はしない」
諦めてくれ。
俺はもう誰も好きにならない。
俺のことだけは好きになるな。
恋とか愛とかに振り回されるのはもう嫌なんだ。
考えたくもない。
あんなうざったい感情もういらない。
吐き気がする。
「諦める、から…だから抱いて。それで諦める」
泣いている山田が震えて懇願する。
「それで諦められんだな?」
「うん。諦める」
抱いてしまったら、記憶に刻まれてしまうはずなのに。
余計に忘れられなくなってしまうのに。
「そしたら本当に友達のまま接するよ」
「分かった」
知っているはずなのに。
抱くことを拒否してやるのも優しさなのに。
俺は山田を抱くことを選んだ。
静まる部屋の中で、舌を絡める音だけが響く。
俺はキスをしながら山田をベッドに押し倒し、制服のボタンを外していく。
白い綺麗な肌だなと思った。
「ん…ふ、ぁ…」
しばらくキスをしてから唇を首筋へと移し、鎖骨を舐め、乳首へと移動した。
「あっ、ん…ん」
「息あがってるぞ。下に聞こえるから黙れよ」
「だっ、てぇ…んっ!」
そう言ってもお構い無しに乳首に吸い付いた。
声が漏れたら動きを止め、声がおさまったらまた激しく乳首を攻めてを繰り返し。
乳首に吸い付きながら、俺の指を山田の口の中に入れて掻き混ぜる。
「ふぁ…んっ、ん!」
山田は必死にその指を舌で絡ませて吸い付いた。
人差し指と中指で山田の舌をこねくり回して、時には口から指を出して舌が後を追ってくるのを楽しんで。
そして乳首を舐めながら、余った手で山田のズボンを下げた。
硬くなった山田のモノをゆっくり扱いた。
「あっ!アァッ!ん…ふ…アッ!」
「こんなに濡らしてんじゃねぇよ。ヤラしい」
そして自分のズボンを下げて、山田の顔にモノを近付けた。
「俺が好きなんだろ?出来るよな?」
山田は頷いて俺のモノを口に含んだ。
そして馬乗りになって、69の体制になった。
俺も山田のモノを扱きながら舐めた。
「アァッ!ん、気持ちぃっ!哀、沢くん…アッ!ん」
「口が疎かになってるぞ。ちゃんとくわえろ」
そう言われて必死に俺のモノをくわえている山田を見て、俺も本気を出した。
高速で扱きながら、山田のモノに吸いついた。
「だ…めっ!ん…イクッ!いっちゃ―…アァッ!」
山田は俺の口の中に精液を出した。
それを手に出して、山田の秘部に指を入れた。
「力抜けよ」
山田は果てたばかりで意識が朦朧としていたがお構い無しに指を増やして出し入れした。
「聞こえるか?このイヤらしい音が」
静かな部屋にグチュグチュと指を出し入れする音が響く。
「アッ!ん…は、アァッ!」
指を出し入れし続けていると、また山田のモノが硬くなってきた。
「イケそうだな」
俺は指を抜いて、正常位になって山田の秘部に俺のモノを押し当てた。
ゆっくりと山田の中に挿入した。
「あぁっ、…はっ」
奥まで突いてから、腰を揺らした。
山田が俺の首に手を回してキスをする。
俺は無意識にキスをしながら山田の手を握った。
まるで恋人同士みたいに。
感情は一切無いのに。
俺も意地が悪い。
山田の目からは涙が零れていた。
嬉しいのか?
それとも苦しいのか?
そんなことは聞けなかった。
知りたいとも思わなかった。
あんなに冷たい言葉で突き放したのに、それでも俺を好きだったことに驚いた。
雅彦に家庭があっても、それでも雅彦を好きだった俺のような山田。
昔の俺を見ているようだ。
俺は山田が嫌いなわけじゃない。
唯一心を許せる友達だ。
もし俺が雅彦みたいに言葉を残してお前の前から消えたら、そしたら山田は俺みたいになる。
お前を苦しめたくない。
言葉なんて邪魔になる。
だったら最初から安易に言葉を吐くことはしない。
俺みたいになって欲しくないから、尚更言えない。
あんな苦しみをお前には与えたくない。
だから言わない。
だから言わせない。
好きだなんて邪魔になる言葉は。
もうあんな思いしたくないんだ。
「アッ、ん…あい…ざわく!ん、アァッ!」
「―っ…!」
そして俺と山田は同時に果てた。
「ありがとう、またね」
「あぁ」
抱いている途中の山田の涙が焼き付いて離れなかった。
俺は重ねてるだけ。
昔の俺と山田を重ねて同情してるだけ。
それ以下でも、それ以上でもない。
言葉なんていらない。
記憶に刻まれてしまうから、
それに囚われてしまうから、
いつか心を抉 るから、
だから、いらない。
何もいらない。
何も求めない。
何も創らない。
何も遺さない。
愛して、ハマッた方が負けなんだ―…
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