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終.目下、愛されています-弟編-

指先で耳を撫でられて、くすぐったくて身体を反転した。 見下ろしてくる相馬の視線が、なんだか妙に色っぽい。 気恥ずかしくて顔を背けると、ずらした視線の先に兄たちの姿を見つけた。 キッチンカウンターの向こう側、壱哉さんが颯斗兄の腰を抱き寄せて…… せめて、どちらかが背中を向けてはくれないだろうか。 横からどっちの表情も丸見えとか…… 「角谷、覗き?」 耳朶に軟らかい唇が触れた。 「…っ……ばか…」 耳元でしゃべんな。つか、すぐ耳に食いつくんじゃない! 「角谷ってもしかして、兄ちゃんのこと好き?」 「………悪かったな、ブラコンで」 確かに、颯斗兄のああいう顔見せられると、ドキドキするよ。 正直、もっと見てみたくもなるけど…。 颯斗兄には言えない。 颯斗兄の気持ちよさそうな顔見てると、なんだかきゅんとしちゃうなんて。 これじゃまるで変態だ。 「…そっちか。良かった」 相馬はなにか呟くと、俺の唇に指を這わせた。 舌先でチロリと舐めてやると、先っぽを口の中に挿し入れてくる。 キャンディーみたいに転がしたり吸ったりしていると、頭の後ろでそれが硬くなり存在を顕示してきた。 視線の先では舌の絡み合う濃厚なキスが続いていて、そのうち颯斗兄の脚の間に壱哉さんの膝が挿し込まれていく。 声を堪える颯斗兄が、壱哉さんの胸にしがみついた。 かわいい……。 「…角谷」 突然目の前が掌で覆われ、視界を隠された。 口から指が引き抜かれ、追いかけた舌を指先で押し返される。 「角谷、なにか俺にして欲しいこと、ある?」 見上げると、唇を弄ぶのと反対の手が、下半身の膨らんだ部分をなぞった。 反応して体を跳ねさせた俺を、意地悪な顔をして笑う。 「……言ったら、なんでもするんだろうな」 「角谷のして欲しいことだったら、なんでも」 擦りあげる力が強くなって、身体を硬くして声があがってしまうのを堪える。 「じゃあ、その手離せよ」 「もっとして欲しそうなのに?」 「だって、声出したら……颯斗兄に聞こえちゃう」 「じゃあ、口は塞いでおいてあげる」 「ばかっ、だめ…っ」 「なら、どうして欲しい?」 「……キスだけでイかせて」 顔が熱い。絶対真っ赤だ。 恥ずかしいこと言わせやがって…。 「睦月…。俺とキスするの、好き?」 「………好き…」 ……ばか。恥ずかしすぎて、涙出てきたじゃねーか……。 「承りました、マイマスター」 こぼれた涙が、指先で優しく拭われる。 「俺の恋人は泣き虫だな」 人の気持ちを知ってか知らずか、相馬は水面に滲む世界の中で、そう言って嬉しそうに笑った。 俺は目下、愛されています───   ―終― ーーーーーーーー 角谷睦月、愛されて完結しました! ハッピーエンド♥⸜( ◍´꒳`◍ )⸝◌。˚✩ 最後までお付き合い頂きありがとうございました! ❁真宮寺うさぎ🐇❁

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