1 / 2
セックス大好きな俺が歳下幼馴染の童貞ちんぽに気持ちよくさせられる話♡【前編】
俺はセックスが大好きだ。
大学進学を期に上京し、初めてセックスを覚えてからすっかりハマってしまった。
初体験の相手はここ、会員制バー『エンネ』の常連で、めくるめく一夜を過ごさせてもらい、それからしばらくの間はその人と会えばヤるの繰り返しだったが恋人になるまでには至らず、ネコとしてのセックスを一通り覚えた後は毎晩相手をとっかえひっかえの日々だ。
ただ、相手はこのバーの会員に限定している。
ここは俺の「安全に遊べる場所」だった。
というのも、紹介してくれたのは俺が物心ついた時から俺の恋愛対象が同性だと気づいていた過保護な従兄で、上京と同時に「かわいい従弟がデビューで痛い目を見たら可哀想だから」という理由でここに連れてきてくれたのだ。
なぜ『エンネ』限定なのかは簡単だ。
『エンネ』の会員になるのは完全紹介制で一見さんお断り。かつ会員登録時にかなりの個人情報をもっていかれるので、店の中でも外でもお客同士のトラブルが極端に少ない。
客層が安定して穏やかなのは、皆に慕われているオーナーの清潔第一、常に紳士たれ精神の強い意向を皆が尊重しているからだ。
このオーナーのお眼鏡にかなわなければ会員にはなれないし、逆に目に余ることがあれば即会員資格を剥奪される。どうやら横の繋がりもかなり太いらしいので、界隈で遊ぶこともままならなくなるという噂で、『エンネ』の会員になるにはかなりの覚悟がいるのだ。
俺はこのバーしか知らないので「そういうものか」と思っているけど、実際ここに来ると店の雰囲気もあって背筋がピンと伸びるような気持ちになる。
まぁ、それでもセックスが大好きなことにはかわりないんだけど。
東京に出てくるまではセックスのセの字も知らなかった俺だが、自分自身こんなにも性欲が強くて快楽に弱いとは夢にも思わなかった。
今まで寝た相手にはほぼ全員から「ギャップに驚く」というありがたいのかよくわからない言葉をいただいた。
そもそもの見た目が、どうも淡白にみえるらしい。
染めたことはない髪は天然で少し茶色で、全体的に色素は薄め。
身長も175㎝と平均身長よりも高めだし、手足はすらりと長い。涼しい目元に通った鼻筋は、どちらかというと清楚系の印象だ。
確かに自分でも愛嬌のある溌剌キャラではないという自覚はあるが、かと言って決してお高くとまっているつもりはない。どちらかというとあけすけな物言いをするタイプなので、そこがギャップと言われればギャップなのかもしれない。
とはいえ『エンネ』での受けは上々だし、今まで一晩過ごす相手を見つけるのに困ったことは一度もなかった。
なんでも「上品そうなのに乱れる時は大胆なのがいい」そうだ。あまり自覚はないのだけれど。
そんな俺だが、最近ちょっとした悩みを抱えている。
この平和な日常が、とある人物によって脅かされようとしているからだ。
今日も今日とて『エンネ』に繰り出し相手を探していて、今夜の相手はアパレルメーカーに勤めている五つ歳上の男になりそうだった。
鮎川と名乗る男とここで会うのは二度目で、ジャケットスタイルが主流のこの店ではあまり見ない、革ジャンとジーンズがよく似合うカジュアルな雰囲気の青年だ。
笑うと尖った犬歯が見えるところがいいなと思った。雑談の中で「スポーツみたいなセックスが好き」と言っていたので、それにも興味津々で気持ちがずっと浮き立っている。
お互いの前にあるグラスを同じタイミング飲み干して見つめ合い、「さて」とスツールから腰を上げたところで店内がにわかにざわついた。
「──いた。カナ先輩」
声を聞いてギョッとする。俺のことをその呼び名で呼ぶ知り合いは一人しかいない。すぐそばまでやってきた長身の男を驚きの眼差しで見上げた。
「おまえ……どうしてここに」
目の前に現れたのは、俺の薔薇色の性生活を脅かそうとする張本人──四月から同居を始めた二つ年下の幼馴染・森聖那だ。
地元の家がご近所さんで、両親同士の馬が相当合っていたらしく、幼い頃から兄弟同然のように育った。
今年の春、聖那も東京の大学に進学したのだが、ちょうど部屋の更新で引っ越しを控えていた俺のところに「お互いのキャンパスも近いし、カナくんが一緒にいてくれたら安心だから」という両両親のありきたりな理由でとんとん拍子に同居が決まったのだ。
しかも物件は聖那の祖父の持つ不動産で、立地やセキュリティが学生の身分ではもったいないほど抜群。その上いずれ聖那の持ち物になるからと納める家賃が破格だった。
特定の恋人を作らず、基本外でのワンナイトセックスしかしない俺にとって、断る理由のない話だった。
しかし同居を始めてから、聖那が想像以上に俺に執着していることを知り、少々怯んだ。
同居を開始するにあたり自分がゲイなこと、特定の相手を作らずに遊んでいること、家には連れ込まないことなどを一通り説明したのだが、「なんで恋人をつくらないんですか?」の一点張りで、「セックスが大好きで自分が好きな時にしたいから」とあけすけに答えてもいまだに納得していないようで、少々手を焼いている。
そんな聖那がなんで会員制の『エンネ』にいるんだ──?
浮かんだ疑問を読み取ったように、聖那は「やっと修司さんを捕まえて紹介して持ったんです」とこともなげに言った。
食えない笑顔を浮かべる従兄の顔が浮かぶ。味方としては頼もしいが、敵に回ると厄介な相手だということも思い出してため息をついた。
「あの野郎、聖那は巻き込むなっつったのに」と、思わずついた悪態も、当の本人はどこ吹く風だ。
ん?……でも待てよ。
「捕まえてって、あいつ今ニューヨークだろ?」
「はい、だからこの前行ってきました」
「は?わざわざニューヨークに?いつ?」
「ゴールデンウィークです。言ったでしょ?」
確かに先週大型連休に入るなり「ちょっと出掛けてくるね」と家を空けた聖那だったが、たかだか三日ばかりだ。
ってことはほぼ日帰り?
ニューヨークはちょっとの距離じゃないだろう。
「わざわざ会いに行く必要あったのか?」
「ええ、オーナーに会員になりたかったらちゃんと本人に一筆書いてもらってこいって言われたので」
「お陰様で、無事」とはにかむ笑顔は全然この場に似合わない。
黒マスクと太い黒縁の眼鏡を掛けていて顔の全容がわからないが、190cmの長身と抜群のスタイルは嫌でも目を引く。ヘアスタイルもセットをしていない無造作なのに、なぜか決まって見えるから不思議だ。
聖那の本業は学生だが、高校時代からモデルとして活躍していて、実はその筋ではかなりの有名人だったりする。
顔面の造形は身内贔屓なしでも神様がイケメン要素を全振りしたんだろう疑いたくなる完璧さなのだが、たとえその殆どが隠れていたとしても、その場にいるだけで周囲にダイヤモンドダストが散っているような華やかさは隠しようがないのだろう。
俺はもう慣れっこだが、近距離で相対している鮎川は聖那の顔をチラリと見て「うわ、すごいな」と目を丸くしていた。
「叶翔くん、どうする?」
「あー、と…」
さすが『エンネ』のお客は紳士だ。こちらの意向をきちんと尋ねてくれるらしい。
ここは少し強引にでも「今日は俺が先約だから」と連れ出してくれたっていいのに。
そう思いながら、とはいえ他力本願なのはよくないので、自分から腕を絡めようとした途端、聖那が無駄に長い足を一歩前に踏み出す。
「割り込んでしまってすみません。でも、今日はどうしても先輩と話したいので譲っていただけませんか?」
すると鮎川は「ふむ」と言って「じゃあ今度奢ってよ」と聖那に微笑み、俺にも「このまま彼に引き渡すでいい?」と同意を求めてくる。
食い下がりたい俺が口を開くより前に、
「俺まだ未成年なのでアルコールを出してもらえないんですけどそれでもよければ」
と真面目に答えた聖那に鮎川はきょとんと目を瞬き、次の瞬間爆笑する。
「面白いね!彼いいじゃん」と背中をばんばんと叩かれて、ああ、これはもう駄目だなと思った。今夜の相手を失うのは残念すぎたが、聖那がどうにも引かなそうなので諦めるしかないようだ。
大きなため息をついた時、鮎川は俺の顎をくいと持ち上げて、被さるようにキスをした。
くちゅっ…とすぐに差し入れられた舌に、容赦なく口の中を弄られる。
それだけでセックスが大好きな体は簡単にとろけだした。
だけどすぐに唇は離されて「ごちそうさま。また今度ね」と言って、鮎川はあっさり離れていく。
火が付く寸前で放り出されてしまい、俺はシンプルに聖那に腹が立った。
小さく睨むと、じっとこちらを見ていたらしい聖那は、何も言わずに俺の腕を掴むと足早に店を出た。
結局二人が住う家に帰ってきてしまったのだが、リビングを通過して連れて行かれたのは聖那の部屋だった。
大きな本棚とデスク、そして無駄に広いダブルベッド。ベッドの大きさが違うだけで俺の部屋も同じようなものだが、しみじみと贅沢な部屋だなと思う。
聖那はぼけっと部屋の中を眺めていた俺を引っ張り、ベッドの縁に隣り合って腰を下ろした。
「カナ先輩」
そう呼び掛ける声は真剣だった。何をしたいのかいまいちよくわからないが、聖那が『エンネ』の会員になったということは、もしかすると今日みたいなことがまた起こるかもしれない。それは俺にとっても大変不本意なので、正面から聖那に向き合うことにした。
「どうしてあんなことするんだよ。同居を始める時にちゃんと説明したよな?おれはセックスが大好きで、毎日誰かに抱かれたくてあそこに行ってるんだって」
「毎日する相手は違う人じゃなきゃ嫌?それは恋人じゃだめなんですか?」
「その前提条件が間違ってるんだよ。そもそも俺に恋人はいないし、作ろうとも思わない」
「どうして?」
「恋人つったって、普通に生活していたらすれ違うことだってあるだろう?毎日セックスできないかもしれないのに、お互いとしかしちゃいけない縛りがあるなんてナンセンスだと思うからだ。それに恋人だったらなおさら『毎日必ずセックスしましょう』なんて約束をするのは馬鹿げてるし、したところで義務になれば絶対に飽きる。そうなったら好きな相手にぎくしゃくして、気持ちが冷めて、嫌いになる。そういうのが嫌なんだ。好きになって自分の心を明け渡した相手を俺は嫌いになりたくない。だったら最初から好きにならないし、その時に必ずセックスできる奴を探しに行ってるんだ。『エンネ』に行けば必ず誰かいて、相手をしてくれるから」
「カナ先輩は愛や恋を信じていないってこと?」
「信じてないわけじゃない。ただ永遠に続くもんじゃないとは思ってる」
別に両親が不仲だとか、過去にこっぴどく振られた経験があるわけではない。ただ俺は人よりもセックスが好きなことを自覚しているから、その趣味の理解して受け入れてくれる人を探すのが面倒だと思っているのだ。
仮にいたとしてと自分が好きになれる相手かどうかもわからない。他人から見れば単なる恋愛下手なのかもしれないけれど、とにかく今自分の手元にある手軽にセックスができる環境が気に入っている。ただそれだけなのに。
「でも……それだと俺が嫌なんです。毎日セックスするのが誰でもいいなら、俺じゃだめですか?」
「はぁ?なんでお前が」
「カナ先輩のことがずっと好きだったからです。いつから好きだったのかわからないくらい、ずっと」
その告白にはさすがに固まってしまった。
というか、人から告白されたのが初めてで、そう気づいた瞬間、ぼぼぼっと音が出そうなほどの勢いで顔面が熱くなる。
やばい、何これ、恥ずかしい。
「いや…でも、お前は……」
「考えたこともなかった?じゃあ今から考えてください。俺とは恋人になれませんか?一緒に住んでるし、よっぽどのことがない限り毎日顔は合わせるでしょう?」
「でも……でも、俺はお前が思ってる以上にセックスが好きなんだよ。本当に毎日ちんぽが欲しいんだ…」
「俺だっていつでもどこでもカナ先輩が欲しいです。ずっと欲しかった。くれると言われたら喜んで貰いますよ。どうですか?俺とは全然考えられない?」
ただ「セックスとする相手」という括りであれば考えられないことはない。俺はそれくらいにちんぽが好きだからだ。
だけど聖那は、あまりにも近い存在すぎて、想像すらしたことがなかった。
幼馴染で、小さいころから俺なりに可愛がってきた相手で、一緒に住んでいる身としては、これでも年長者としての責任感があったりする。
若人──俺も十分若人だけど──の輝かしい未来を俺なんかが翻弄してしまっていいのだろうか?
ぐるぐると考えていると、聖那が小さく苦笑する。
「カナくんって根がすごく真面目だもんね」
懐かしい呼び方に顔を上げると、柔らかな眼差しとぶつかった。
「俺のこと色々と考えてくれてるんでしょ?俺の将来が心配?性的指向どうのって言うのは無しだからね。俺はずっとカナくんが好きだから。将来のことも俺なりにちゃんと考えてるから大丈夫だよ。モデル業は性に合ってるし、これからも頑張るつもりだし。おおまかな道筋もつけてるしね。学業だって同じだ。俺の頭の良さ知ってるでしょう?勉強に苦労したことはないからこれからも大丈夫。たとえセックス大好きのカナくんと毎日セックスに溺れたからってどうにかなる人間じゃないよ。だってカナくんだってそうでしょう?毎日ちゃんと大学に行ってるし、バイトだってしてる。カナくんはよくて、なんで俺はだめなの?」
そうやって畳み掛けられると、何でダメなのか自分でもよくわからなくなってくる。
お互いに「セックスがしたい」の合致があれば別にいいのでは?
──いやいや、でも聖那はその場限りの他人ではないし……。
それこそ、いつか俺に愛想を尽かされたときが怖い。
あれ?それってつまり──。
「さっき言ってたみたいに、将来俺に嫌われたら怖いって思う?それはつまり、嫌われたくないって思うくらいには今もう俺のことが好きってことじゃないの?」
そう言われるとなんと答えたらいいのかわからなくなる。
「百歩譲って、最初から恋人じゃなくてもいいよ。でも、今日はカナくんの大好きなものは一つしかないから、これじゃだめ?」
そう言ってぎゅっと握られた手をそっと股間に導かれる。
「カナくん俺のこれ、ちゃんと見たことないでしょう?普段絶対見ないようにしてるもんね。どうして?」
「そ、それは……」
「欲しくなっちゃうからじゃないの?」
ふに、と前立てに手のひらを押し付けられて、その下にあるものをつい想像してしまう。
「ねえ、カナくん。これ欲しくない?」
ごくりと生唾を飲む。欲しいか欲しくないかの二択なんて答えは簡単だ。欲しいに決まってる。
「まだ使ったことないんだけど……」
「へぁっ!?」
頭上から降ってきた衝撃的な言葉に変な声が上がってしまった。
こいつ今、使ったことがないって言ったか?
高校時代は校内外にファンクラブがあって、普段煌びやかな芸能界にいるこいつが?これを?使ったことがないだと…?
「嘘だろ?一回も……?」
「うん、だって俺、本当にずっとカナくんが好きだったから」
「カナくんとしかしたくなかった」と真っ直ぐな瞳でそう言われて、不意に胸がきゅんとなった。
(こいつ、本当に俺のこと好きなんだな……)
すると聖那は、俺の手のひらを頬に寄せて甘えるように首を傾ける。
さすがの俺も、眼前のド美形の迫力に一瞬呼吸が止まった。
「カナくんが教えてくれたら絶対に上手になるから。俺が器用なの知ってるでしょ?俺のこれ、カナくん好みのちんこにしていいよ。形は変えられないけど、言ってくれればどんなことだってするよ。優しく抱いてって言ってくれたらそうするし、激しくしろって言われたらできるから。どうしても違う形がいいって言うなら、その時は作ってあげる」
「……は?作る?」
「うん、カナくん好みのバイブでもディルドでも。そもそも飽きさせない自信があるけどね。どうしても俺のちんこじゃ嫌で、他がいい!ってなったら今まで通りに遊びに行っても……いいよ。でもそうさせない自信があるよ。だって俺とカナくんだもん、相性が良くないわけがない」
「どこからくるんだよその自信は……」
「俺がカナくんをめちゃくちゃ大好きだからだよ」
とんだポジティブ思考に苦笑が漏れる。だけどそれが聖那らしいなとも思った。俺が昔から知ってる聖那だ。
「どう?これ、欲しくない?」
そこまで言われて拒絶する理由は──ない。
覚悟を決めた俺は、素直に頷いた。
ともだちにシェアしよう!