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立たされた境地13

 翌日、篠田が言った。 「保健の類沢先生が暫く休暇をとりました。具合悪くなったら職員室に来てください。代わりの先生は来週から来ます」  すぐに廊下に飛び出し、篠田を追った。  ガッと肩を掴む。 「類沢っ先生、どこに行ったんすか!」  まだ、廊下に生徒はいない。  篠田は真剣な顔をした。 「……お前が当事者だと思っていたがな。類沢に裁判所から呼び出しがかかったんだ。このまま免許剥奪もありうると校長は言っていた」 「は……はあ?」  俺は息が上手く出来なかった。  篠田が去っていく。  待て。  待てよ。  あんたも当事者だろっ。  そう叫びたくなる。  嘘だろ。  世界においていかれてる。  俺だけ。  あの男のせいか。  西のせいか。  もう一度篠田を止める。 「なんの裁判なんですかっ」 「知らないんだ、誰も」 「先生……辞めるの?」  小声で尋ねた俺を笑う。 「良かったじゃないか」  思考が止まる。 「望んでいたことだろう?」  息が、出来ない。 「瑞希!」 「どした?」  金原とアカが走って来た。  篠田は俺の頭をポンと叩いて職員室に入って行ってしまった。  残された。  ふざけんな。  あんたは説明していけよ。  視線が定まらない。 「みぃずき、なにがあった?」 「また篠田に因縁つけられたのか」  二人が顔を覗く。  あぁ、表情が作れない。  二人が強張る。  動けない俺を引っ張って、部室に連れていく。  授業は自習。  サボってもバレない。  でも、そんなことどうでもいい。  バタン。  部室の扉が閉まる音にハッとする。  金原が肩を揺さぶっていた。 「どうしたんだよ!」 「あ……」  アカは椅子に座って笑った。 「喜ぶことじゃん、みぃずき」 「喜ぶ?」 「類沢がいなくなるんだよ? これでみぃずきの願いは叶うんだ」  願い?  俺の願いなの?  類沢がいなくなんのが、俺の願い?  金原がアカを睨む。 「やっとだよ! 受験にだって集中できるんだしさ」 「ちょっと黙れ、アカ」

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