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立たされた境地14

 金原の声にキョトンとする。 「なんで?」 「瑞希の気持ちを考えろよ」  アカが立ち上がる。 「圭吾こそっ。どうしちゃったワケ? ここでみぃずき何て言った? おれは覚えてるよ、止めたいって。やっと止められるんじゃん。類沢から解放され」 「そういう問題じゃないんだよ!」 「どういう問題だよ!」  金原とアカが怒鳴り合う。  俺のせいだ。 「何が問題なの? アイツはみぃずきを傷つけて、圭吾まで襲った最低野郎だってわかってるんだろ」 「お前もナイフ持ち込みと父親の一件の時に助けて貰っただろ」 「お前もってなに? 意味がわかんないんだけど。大体あれもみぃずきを利用するための演技だろ」 「違うって言ってるんだよ!」 「何が? さっきから圭吾が何言ってんのかわかんない。なんで類沢庇ってんの? たった一、二回優しくすりゃ過去が許されるワケ?」  パキン。  心で音がした。  アカを見つめる。  たった一、二回…… 「おれは父さんを刺した罪は一生消えないってわかってる。父さんだってそうだ。今は幸せに見えるかも知んないけど、櫻に会う度胸が痛いよ。兄が、義兄が犯罪者なんてねっ! 一生だよ。一生罪って消えないモンなの」 「お前の場合とは……」  金原が言いかけて止まった。  空気が凍りつく。  越えてはならない一線。  それを踏んでしまった。 「へぇー。圭吾、やっぱりそう思ってたんだ。おれは犯罪者で類沢センセは違う? なんで? ねぇ、教えてよ。納得出来なかったら……圭吾の前から消えたげる。おれ、犯罪者だもんね」 「そういう意味で言ったんじゃ…」 「じゃあ、なに? なんなワケ?」  アカの感情の高ぶりに圭吾が圧される。  二人の目には抑えきれない涙が浮かんでいた。  戻れない。  取り返しのつかないことをお互いに言ってしまった。 「やめろよ、二人共」  俺が直さなきゃ。 「俺と類沢先生の問題だし」  アカが駆け寄る。  俺の襟を掴んで、言葉を探してる。 「……みぃずきっ」 「アカは親友だよ。金原も」 「どうしたの? 類沢に脅されてんの?」  同じセリフを聞いた。 「脅されてはいないよ」 「じゃ、なんで」  なんで?  なんでだ。  俺の優柔不断に決断が迫られる。  アカが詰め寄る。 「みぃずき、まさか…」  金原が止めにかかるが、間に合わない。 「センセが好きなの?」

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