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認めたくないこと02

 修学旅行が終わると駅伝の季節がやってくる。  もちろん、俺の大嫌いな季節ってわけだが。  木の葉の舞う中なにが嬉しくて半袖短パンで三キロも走らされなきゃならないのか。  そんな憂鬱な空気をかき消すように奴が走り寄ってきた。 「しっのぶー! いい天気だな今日は」 「近所のおばちゃんか、てめえは」 「あら、やだ……」  なよなよと頬に手を当てる拓を突き飛ばす。  準備運動が終わり、前半のクラスメイトが走っているわずかな休憩時間。  周りには走りたくないオーラ全開の同級生がだるそうにグラウンドに横たわっている。 「本当元気だよな」 「だって十分弱も忍の隣にいれるんだぜ? こんなサービス授業はなぶっ」 「恥ずかしいことベラベラかましてんじゃねえよ、馬鹿が」  顎にアッパーを食らわし、髪を縛り直す。  ポニーテール気味に上げ目で固定する。  二ヶ月ちょっとでまた随分伸びた。  もう腕を背中の下から回しても自分で触れられる。 「忍の髪ってぜんっぜん痛まねえよな」 「そうか?」 「ほら。綺麗なお姉さんは……好きですか? 的な」 「……そうか?」  首を傾げる俺に拓がよりかかる。  靴の中の砂を落とすためだ。  わざと肩を揺らしてやると、本気で焦ってしがみついてくるから面白い。  くだらない話をしているとすぐに時間は経つ。  体育教師がピストルを持って近づいてきた。  元気の塊だと主張せんばかりの白いシャツの袖を捲くって、こんな寒空の下汗を煌めかせて。 「おいおい、古城。今日くらいは真面目に走ってみろ。お前なら全国行けると先生は思ってんだぞ」 「はーい。せんせー。すみませんがオレには傍についてなきゃダメな奴がいるんで」 「せんせー。さっさと全国にでもどこにでも連れて行ってくださいこの馬鹿」 「ははははっ。相変わらず仲が良いな、お前らは」 「いちゃついてんじゃねーぞ、そこ!」  誰かと思えば一着で帰ってきた結城が中指を立てながら歩いてきた。  すぐに拓がハイタッチをしにいく。  結城は息も絶え絶えに四つん這いになり、それからゴロンと転がった。  胸が上下して辛そうに顔を覆う。 「あの古城拓に勝ったって証拠が欲しいんだよ、こっちは。真面目に走れやたっくん」  俺は無造作にタオルを放ってやる。  結城が小声でさんきゅ、と言った。

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