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一周してわかること03
階段に座る。
両手で顔を覆った。
あの女の人脈に頼ってしまった。
これで俺は一生あの人に恩を作ってしまった。
ふうっと息を吐く。
「……それでもあのゴミ共に処理に使われるよりかはマシだ」
低い呟きは冷たい空気を更に重くした。
三日後、登校途中で結城と合流した。
「ひっさしぶりだな、忍ちゃん」
「よう、発情期」
「あれ!? 振り出しに戻ってる」
こいつがあの呼び出しに一枚噛んでいる可能性も考えたが、拓との関係を囃し立ててくるような奴だ。
それはないだろう。
「それより聞いたか? うちの生徒が六人も行方不明になってんだぞ今」
「へー」
「警察とか事情聴取って言ってあの、あのうちの学校に訪ねに来てたんだぜ? 自殺行為だろ。案の定先輩集団に追い返されたけどよ」
「ははっ、まじかよ」
「それで忍もその一人になってんじゃねえかって拓が日に日に死にそうになってってたんだからな! お前……今日一日がんばれよ。あいつ今すぐお前を抱き殺しかねねえぞ」
「それはてめえの場合だろ」
こんな冷静に受け答えしている自分は、あのババアの血をしっかりと受け継いでるんだと思った。
恐らく柾谷とかいう男の組織は相当黒いんだろう。
あの六人の末路なんてどうでもいい。
晴れやかな気分にも陰鬱にもなりえない。
俺の人生から消えただけ。
それだけ。
だが……
「拓、生きてるよな?」
「そろそろ死者蘇生が必要かも」
「バカいってんじゃねーよ」
知らずに早足になる。
三日間。
古城拓のことしか考えてなかった自分は相当重症だ。
校門が見えて走って教室に向かう。
結城も付いてきた。
扉に手を掛け、ガッと力任せに開いた。
「たっ……」
その短い名前さえも言い切れなかった。
真っ白になった視界と頭に走った柔らかい衝撃。
後から聞こえたボフッという音。
「ぷっ、ははははははっ! 大成功だな! 拓」
結城の笑い声が背中から聞こえる。
俺は頭の上に乗った黒板消しを握りつぶすように手に取った。
「しっのっぶー!」
まだ白い世界でこちらに向かってきた影の顔に向かって、手加減なしに振りかぶってからその黒板消しを叩き付ける。
「ぶふぉっ!」
「あーあー。てめえも真っ白だな、単細胞?」
手をパンパンとはたきながら影を見下ろす。
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