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一周してわかること09
晴れて入学を果たした高校デビューの熱気と期待に包まれていた学校でオレは早々に地獄に落とされた。
クラス発表のボードの前で呆然とする。
「なんで忍とクラス違うんだよおおおお」
「うっせ。いきなり目立ってんじゃねーよ」
「おやおや~。カップルはこうして消えていくんだな」
「結城殺すっ」
「騒ぐなっつってんだろうが、馬鹿共!」
上級生が階上の窓から見下ろす中、オレらは中学の色そのままにはしゃいでいた。
新入生呼び出しの合図があり、結城は忍の手を引いた。
その間にバッと割って入る。
「なんだよ」
「なんで結城と忍が同じクラスでオレだけはぶられてんだよっ」
「……日頃の行いじゃねえの」
「そういうことだ、たっくん。じゃ」
オレは四組。
忍たちは一組。
こんなにも離れるとは。
手を振って消えていく二人に涙ぐみそうになる。
こんなことなら春休みにもっと忍と遊んでおくんだった。
入学手続きを母の代わりにやらなきゃならなかったせいもあって全然顔を合わせる暇もなかったのだ。
想像していなかった。
毎時間当たり前に一緒にいたことが叶わなくなるなんて。
昼休みになりパンとお茶を持って一組に行こうとすると、その距離の長さにいささか心が折れそうになる。
けれど忍がこっちに来ることはまずないだろう。
だから精一杯笑顔で知らないクラスのドアを開けた。
「しっのぶー!」
「おお。拓」
ドアのすぐそばにもたれていた忍が手を挙げて会釈する。
うわっ。
うわー。
忍がいる。
そんなことで舞い上がる自分がいる。
「どした?」
「昼。一緒に食おうぜ」
「あー。どこで?」
オレ達は三秒ほど固まった。
そうだ。
裏庭はもうない。
「お、屋上は?」
「鍵壊せんのか?」
それを聞いた周りの一年がざわめく。
「おいおい、お二人さん。もうあの都立中じゃねえんだぞ。あぶねえことはすんなや」
結城が急いで繕った。
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