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超絶マッハでヤバい状況です06

 コンコン。  ノックで目覚める。  しまった。  寝てたのか俺。  腕時計を確認する。 「二十三時!?」 「そうだよ、眠り姫」  ドアが開いて類沢が入ってくる。 「あっ、俺、え? ね、寝て。うわぁあああ」 「焦んなくていいから。というか……」  ベッドから落ちそうになる。  ガンガンする頭を押さえて類沢を見ると、優しい笑みを浮かべていた。 「寝顔見たかったな」 「えっ、あ、ありがとうございます!」  何言ってんだ俺。 「あはははっ。あー、瑞希といると癒されるなぁ」  眼の下に、黒い隈。 「類沢さん……何か、あったんですか」 「静かに」  口元に指を当てる。  俺は黙って類沢の後ろの扉を見つめた。 「閉店間際に厄介な客が来てね。今、チーフが対応している」 「篠田チーフが? どんな客なんですか」 「最悪な客」  それが全てだ。  そう言うように、類沢は口をつぐんだ。  だから、これ以上は聞けなかった。  十分程だろうか。  扉にもたれる類沢と無言で過ごした後に、ノックがした。 「開けるぞ」  篠田チーフだ。  いつも乱れ一つないスーツが、くたびれている。  溜め息をして、額を拭う。 「お前がいなくて良かったよ」 「どこのホスト?」 「ホストじゃあない。最近歌舞伎町の土地を買いあさっている企業家だ。ま、この街に来る輩だからな。裏で結構色々やってる面倒な奴だ。鬱陶しいな」 「僕がいなくて良かったって?」 「あぁ、ヘルプの一夜だったか。酒の注ぎ方に因縁つけられてな……あいつスーツは一つしか無かったと思うんだが。お前がいたら」 「殴って来る」 「待てまて」  篠田が類沢の肩を掴む。  一夜……  俺は胸騒ぎがした。  大丈夫だろうか。  客に酒をかけられるなんて。  なんて。  なんて、奴だ。  拳を握る。 「瑞希もだ。落ち着け」 「え?」  読まれてたのか。  息を吐く。 「瑞希は掃除行ってこい。一夜もまだいるはずだ」 「……はい」  二人の横を過ぎる。 「体調管理はしっかりな」  篠田が言った。  ザッザッ。  ブラシの音がする。  トイレに入ると、三嗣が床を削る勢いでブラシをかけていた。  口を開く前に、個室から一夜が現れる。  スーツが濡れて、黒くなっている。 「い……」 「瑞希! 良かった、復活したか」
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