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超絶マッハでヤバい状況です20

「ハーイ。秋倉おじさん久しぶり? 老けたし太ったね。直視出来ない」 「空斗、落ち着け。キャッスルのホスト、如月紫苑だ」  瑞希が声を上げる。  ああ、そうだった。  言ってなかった。 「今回、貴方の店に狙いをつけたのは僕らだけではなかったんですよ。支部は先ほど全て差し押さえました。もう貴方に残ったのはそこにいる役立たずの部下だけですね」  六人が類沢の後ろに立つ。  周りのホスト達は、その異様な圧力に身震いした。  きっと今、歌舞伎町の頂点の七人がここにいる。  いや、もう一人…… 「ふざけるな。こんな騒ぎにしてただで済むとでも」 「ただで済まないのはお前だけだ」  低い声が類沢の後ろから響く。  誰もが口をきくのを忘れた。  炎に照らされた影。 「この街を荒らしやがった糞野郎? 今更なにが出来るんだ」  その横顔が闇夜に浮かぶ。 「し……篠田」  いつものように白いスーツに身を包み、煙草を片手に現れる。  だが、穏やかさは一切ない。  純粋な怒り。  瑞希は以前脅されたことを思い出した。  秋倉に近づき、ネクタイに指を這わせる。 「なあ、お前は昔から知ってるぞ。男児誘拐犯の真。まさか名義屋とつるんでるとはな」  類沢は片眉を上げた。  また、隠していたな。  裏に秋倉がいることを。  春哉?  ネクタイに絡んだ指がグイッとそれを引く。 「がッ」  太い首に食い込み、秋倉の顔がさらに紅くなる。  篠田は無表情で煙草を近づけた。  彼の眼に。 「やめろ……」 「本当はな、雅に全部任せたかったんだ。お前を半殺しにでもしてくれるんじゃないかと思って。でも雅はお前なんかよりずっと利口だった。暴力沙汰は禁止。こんな単純なルールさえ守れない奴がいるってのに」  類沢は声なく笑う。  昔破ってなにをされたかよく覚えていたから。 「熱い? 熱いよなぁ、網膜が焼けたらそりゃ痛いだろう。痛くて眼なんかいらなくなるんじゃないか?」  秋倉はそれでも誇りがあるんだろう。  目を閉じなかった。  篠田が手を下ろす。 「ま、暴力はやめろという俺が暴力をしてもな」  秋倉はゼイゼイと息を吐いた。  店が轟音を立てる。 「さて、類沢。かつての飼い主に判決を下してやれ」  類沢は頷き、足を踏み出した。  飼い主、ね。  この醜い男がね。  血走った目を見下ろす。

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