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随分未熟だったみたい13

 河南が小さな口でストローをくわえ、軽く噛んで離す。  歯形の残ったそれがグラスに倒れる。 「お客さんと浮気しないでね」  金の瞳がじっと見つめてくる。  油断したら呑まれそうな金色。  俺は蓮花さんを思い出しながら頷いた。  女性の眼には魔力が宿ってるんじゃないだろうか。  そのくらい二人のは引き込まれる。  さらに凄い眼を知ってるが。 「絶対しないよ」  長い睫毛が伏せられる。 「その言葉は信じられない。絶対なんてないから」 「河南……」  細い指でグラスを包む。  前にあげた指輪を左手の薬指に見つけた。  毎日つけるよ。  そう言った通り、彼女は欠かさない。 「瑞希は格好よくなった、本当にビックリするくらい。Tシャツにジーンズしか見たことないのにお洒落になったし、待ち合わせも早く来てる」 「良いことじゃないのか?」 「いいことだよ。でもね……」  栗色の髪をいじる。  気持ちを静めるように。 「不安になっちゃうなぁ……今の瑞希は、きっと沢山の人を惹き付けちゃうから」 「そんなことは」 「ひとつだけ安心なのはね」  そこで悪戯っぽくフフっと笑う。 「シエラは類沢雅さんがいるでしょ、だから瑞希に群がる人をあの人が奪ってくれるんじゃないかなーって」  珈琲のカップが震える。  いや、震えているのは俺の指だ。 「は、はは……そうだな。類沢さんは本当に凄いし、俺なんか足下にも及ばないよ。そうに決まってる……」  顔がうまくつくれない。 「類沢さんって呼んでるんだね、話したりするの?」  話したりするの、か。  話すどころじゃない。 「まあ、色々?」 「どんな人?」  ヤバい。  この話題は早く終わらせないと。

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