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俺は戦力外ですか25
「愛が?」
類沢はリビングで今聞いた話を信じられないように首を振る。
それを眺める篠田と蓮花。
「どこと繋がってるって?」
「お前が嫌いな奴らだよ」
「多すぎるんだけど」
「ひとつしかないだろうが」
ピチピチと鞭を壁に打ち付ける音が響く。
一瞥したそれには紅い雫が散っていた。
おそらく、愛の。
「いつから疑ってたの」
「あいつのことか? 実はあるツテから情報が入ったんだよ。愛が店外で秋倉の部下に会ってたってな」
「まさかと思うけど……滝宮?」
「よくわかったわね」
黙って聞いていた蓮花が口を挟む。
今しがたまで乱れていたような濡れた瞳で。
その性癖を知っている類沢は黙って彼女を見つめる。
「いくらなんでも早急すぎない? あそこの情報ってたまにミスもあるんだし」
「珍しく肩を持つのね。愛がお好き?」
「一番ライバルだからね」
「すました顔でよく言うわ」
無表情に戻った篠田が静かに場を制する。
蓮花も口をつぐんだ。
三人は立ったまま向かい合い、考えを整理するかのようにそれぞれ宙に目を漂わせる。
「……どこまで目星をつけてるの、二人は」
「最低でも二週間後までに向こうから連絡が入ってくるだろうが、それまでに空牙あたりが接触するだろうな。あいつと吟は大阪にも店を持ってるから、今回のことも資料をよこしてくれた」
「へえ。吟達がね」
意外というほどでもない。
この街の外に支店を持っているのはシャドウだけじゃない。
篠田がオペラを構えているように、スフィンクスの松園親子も青山に店がある。
雛谷と紫苑くらいだろう。
歌舞伎町のみを仕事圏内にしているのは。
「裏はどっちなの。蜂?」
「ああ、やめて。その名前出さないで。吐き気がするから」
蓮花が顔をしかめてキッチンの奥に消える。
すぐにコーヒーサーバーの音がした。
それを聞いた篠田が舌打ちをして話を元に戻す。
「その時の交渉はお前には参加させないつもりだ。予定では吟と我円と行こうと思っててな。俺の本題はそっちじゃないんだ」
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