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どんな手でも使いますよ22

 傷口に爪を差し込んで、グチリ、とえぐる。  無表情を崩さないものの、痛みに耐える類沢の額に汗が滲んだ。 「さあね」  その返答に笑みを広げた聖が、類沢の肩を掴んでそのまま自分の後ろに引き倒す。  手に気を取られていたせいで足がついていかず、ガンッと壁に激突した類沢の隣を聖が駆けた。  振り向いた視線の先で、聖は麻耶の首に腕を回して拘束していた。 「や……やめ、て」  脅すように胸に突きつけられた釘がゆっくりと肉を押していく。  流石にその光景に類沢は眼を見開いた。 「お前……」 「俺ね、ずうっとあんたに復讐がしたかったんだ。最初はホストを辞めさせてやろうって思ってた。薬漬けにして、言いなりにさせたかったってのもちょっとあった。でも多分、一番したかったのはさ」  手を下ろしながら走って向かってきた類沢に、ポケットから取り出したものを突き付けた。  空気が止まる。  三人とも微動だにしなかった。  類沢は、自分の鼻先に構えられた銃を見て、生唾を飲み下した。  恐らく中身は秋倉に撃った麻酔だろう。  だが、ここで気を失うと聖は何をするかわからない。  麻耶も下手に抵抗しようとはしなかった。  電気が走る痛みを感じながらも、胸に突きつけられた凶器から必死に目を逸らして。 「あんたの一番大切なものを奪って、壊して、それであんたが悲しむのが見たかったんだよね。あんたが俺にしたみたいにさ」  淡々とした声が、空調の効いたリビングの温度を更に下げていく。  だが、そんな空気を類沢の笑いが打ち砕いた。 「っふふ……ははははっ」  聖が動揺して叫ぶ。 「また笑うのっ? あんたは前も俺を笑ったよな!」 「あはははっ、あー……笑うよね。だってお前馬鹿だから」 「挑発できる立場だと思ってんの?」  類沢は体勢を起こして、手錠した手を差し出した。  対抗する意思はないとでも示すように。 「お前さ、さっき撃った男が誰だか知ってる?」 「秋倉真だろ」 「それだけ?」  ぐっと下唇を噛んだ聖に憐みの眼を向ける。 「あいつはね、僕にホストを辞めさせて、一生ここで飼ってくためにここに連れてきた男だ。昔みたいにね」  麻耶が問うような目線を投げるが無視して続ける。 「放っておけば、お前が望む結果になったんだ。それなのにわざわざ一般人を巻き込んで? 自己満足のために用意してさ、おかしすぎるよ」

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