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fail①

後日、ハルは言われた通りの場所へと向かった。 そこは廃墟のようなビルで、使われているような形跡は無い。 ここで、麻薬密売の取引が頻繁に行われているとの事だった。 ハルは、慣れた手つきで壁伝いに2階の窓から屋内に入り込み、屈んで階下の様子を伺う。 『へえ…最高じゃねーか。』 『この量でこんだけの報酬貰えるなんてな。』 男たちの話し声が聞こえる。 薄暗くてよく見えないがおそらく3人いる。 いや…違う。4人だ。1人縛られている。 『それにしてもコイツ、何者なんだ。』 『ここを嗅ぎつけるなんてな。この場所ももう使えねーな。』 『まぁ雑魚でよかった。さっさと殺っちまうぞ。』 人質…? この場所で取引が行われている事を警察は知らない。 一般人がこんな所に来るはずも無い。 てことは…組織の仲間か? 拘束されて蠢く男を見て、ハルはぐるぐると考えを巡らせる。 そのうちに男のうちの一人が拘束されている男に銃を向けた。 『じゃあな。』 バンッッと銃声が鳴り響いた。 その銃声は男ではなく、ハルの手持ちの銃から放たれたものだった。 「ぐぁッ」 男のうちの1人が右肩を抑えて蹲る。 ハルの銃弾が命中したのだ。 「何だてめぇっ!」 他の男2人が怒声をあげると同時にハルは2階から軽快に飛び降りた。 考えている時間はないと判断した。 「…残り2人瞬殺してあの人を助ける…」 ハルは自分に言い聞かせるように小声で呟くと、男2人が放つ銃弾を交わしながら、目にも止まらぬ速さで男のうちの1人をなぎ倒し、もう1人の銃を蹴りで叩き落とした。 「おい!こいつ死ぬぞ!」 声の方を向くと、肩を撃たれた男が人質に銃を向けていた。 「…く…」 ハルは一瞬ひるんでしまった。 その瞬間に男がハルにのしかかった。 もう一人の男にも一緒に抑え込まれ、小柄なハルは、体格差で身動きが取れず、おまけに人質を盾に使われ、抵抗する事が出来なかった。

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