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fail②
ハルは両手を柱に縛り付けられる形で後ろで縛られた。
「ったくヒヤヒヤさせやがって…」と男の1人が言うと、別の男がハルの傍にしゃがんで話しかけた。
「お前一体何者だ?こんなガキが銃なんか持って。しかも、そいつよりも明らかに洗練された動きだった。」
そいつ、と言って人質の男を顎で指した。
人質の男はぐったりした様子だった。
しゃがんで話しかけた男がリーダー格なのだろう。床に転がったハルの銃を手に取り、裏返したりして見ていた。
ハルはただ無言で窓を眺めている。
そんなハルの顎をリーダー格の男が掴んで自分の方に向かせた。
「怖くねぇのか?お前。余裕だなぁ」
「……離せ」
「はっ…度胸があるガキだ。」
「離せ」
「お前どこの組織から派遣されたんだ?それ言って命乞いをすれば、助けてやってもいいぜ?」
「お前の言葉に、どんな重みがある。」
真っ直ぐ視線を反らさずにハルは言った。
ハルの鋭い眼光に一瞬ひるんでしまったことを隠すように男は舌打ちをすると、立ち上がり煙草に火をつけた。
「…ちなみに、こいつはさっき白状したぜ。"ブラッディフェアリー"だってな。」
ハルは、人質の男を一瞥した。
人質の男は小さく「すまない…」と答え、ハルはチッと小さく舌打ちをした。
"ブラッディフェアリー"は、まさにハル達の組織の名前だ。
「お前も同じか?まぁ俺たち"グランギニョール"に対抗出来る規模の組織っつったらブラフェアくらいなもんだからな。」
ブラッディフェアリーは"ブラフェア"と略され、裏組織ではかなり有名な存在だったが、隠密行動をしているため素性は明かされていない。
人質の男の様に組織名を吐いてしまうのはご法度だ。
「なぁガキ。お前、何番目だ?」
リーダー格の男が再びしゃがむと、ハルに話しかけた。
「…何がだ?」
「ナンバーだよ。ブラフェアは構成員に番号で階級を付けてるって聞いたぜ。ちなみにそいつは48番だってよ。お前、もっと上だろ。殺気がちげぇ。」
ハルは無視するように再び窓に顔を向けた。
すると、男がまた顎を掴んで前を向かせた。
「……お前…かわいいな。」
顎を掴んだまま、男がハルの顔を間近で見て呟いた。
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