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4人目

「それにしてもハルが失敗するなんて珍しいですね。」とブラウンが言った。 翌日、ハルはバー「マスカルポーネ」に任務報告に来ていたのだ。 昨晩救出された後、警官に色々聞かれると面倒なのでそそくさとその場を離れた。 クレハとは連絡先など交換していないので、恐らくもう会うことは無いだろうと思った。 ハルは頬杖をつきながらどこか上の空の状態で、ブラウンの言葉に反応していない。 「ハル…?どうしました?」 「あ、わり…そうそう、人質さえ居なけりゃ余裕だったのに…」 ハルはふと我に返ると悔しそうに言った。 「ナンバー48でしたね?彼からも報告を受けています。」 「なんて言ってた?そもそもタッグを組んでアクションするなんて話聞いてなかった。」 「彼はたまたま現場を通りかかり3人の男が密談しているのを見て、不穏な空気を感じて茂みから偵察していたそうです。その時、背後から攻撃されたとの事です。」 「ちょっと待ってくれ。それって4人目が居たってことか?」 「その様です。その4人目は彼を3人に引き渡し『ここはもう使えない、コイツを始末したら撤収しろ』と告げて、その場を去ったそうです。そのすぐ後にハルが来たという流れでしょう。」 「その4人目って、どんな奴なんだ。口調からしてあの変態3人組より身分が上って感じがするな。」 「姿は見えなかった様ですが、全く気配を感じなかったと彼は言っています。ところで、"変態"3人組とは?」 「あ…いやなんでもない…」 「そうですか。気になりますが掘り下げると恥ずかしがって怒りそうですのでやめておきます。」 「…ブラウンさんっていい人そうに見えて意地悪なとこあるよな…」 「ハルは口調は強めなのに実は恥ずかしがり屋で甘えたがりなところがありますね。」 図星をつかれたハルは顔を少し赤らめると目の前のオレンジジュースを飲み干した。

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