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青夜の街に溶けていくのは
ネオンライトの輝く青く薄汚れた夜の街をふらふらと歩くハル。
この辺りは治安が悪く、夜の方が昼よりも騒がしい。
ブラウンの言う通り、自分がおかしい事はわかっていた。
ずっとクレハの事が頭から離れない。
彼の服に染み付いたタバコの匂いが残り香のように体に棲みついている。
昨日会ったばっかなのにおかしいだろ。
ただの吊り橋効果ってやつだ、こんなの。
そう自分に言い聞かせながら街を歩く。
恋をする度に死にたくなる。
人を好きになどもうなりたくない。
自分が重いことはわかってる。
でもどうしようもない。
愛されたいなんて想いは幻想だ。
続きがあると思っていたページが白紙だった時の感覚。
真っ白な壁に囲まれてどこにも行けない夢を何度も見たこと。
裏切るなら最初から近付かないでほしい。
煮え湯を飲まされる想いはもうたくさんだ。
ハルは自分の左腕を見る。
そこにはまるで洗濯板のように無数に刻まれた自傷の跡が残っていた。
スマホのメッセージを確認する。
「今日、どうかな?たくさん払うよ。」という3日前に来ていて未読だったメッセージ。
「"今日"ならいいよ」と返事をした。
数秒もせず、すぐに返信が来た。
「暇かよ」と小さく呟いたハルの言葉は青夜の街に溶けていった。
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