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第1話
「こんな俺なんて、生きてても意味なんてないんだ。」
海に1歩、また1歩と足を踏み出す桃木 凛 。生きることに疲れた彼はこんな人生無くなってしまえばいいのに、そう望んだ。
すっ______。と静かに海に沈んでいく中、凛の頭をよぎった事は去年の夏のこと。
あの時も、確かに死のうと思ったんだ。
だけど、ぼんやりする意識の中、確か男性が助けてくれた事だけは覚えていた。
なぜ、彼はあの時助けてくれたのか。
凛にとって、死ぬ前の最後の疑問だった。
_________段々、呼吸が苦しくなってくる。海に身体を沈め、何故か恐怖する心を鎮めた。
少し、少し苦しいのを我慢すればもうこの地獄から解放されるのだ。と、凛は必死に自分を励まし続けた。
ゴポ…ゴポ…ッ…。
酸素が、全て無くなる。
入ってくるのは海水のみ、あぁ、苦しい。
だが、生きていることに比べたらこの苦しさなどなんてことないだろう。
段々、苦しさも無くなってきた。意識も薄れてくる。
ようやくこの世界とさよならだ。
凛は、ゆっくりと瞳を閉じた。
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