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11 絶対的支配者登場

ここは、市内のとある某所。 落ち着いた日本庭園を望む、広々としたモダンな和室。 床の間を背に座っている男、九鬼 宗篤(くき むねあつ)は、土下座で平伏する男達を冷ややかな目で見つめる。 九鬼は、仕立てのよい真っ白なスーツに宝石輝く高級アクセサリで身を固め、いかにも上流階級の男の容姿。 歳は、脂の乗った30台後半。顔は、年相応で涼し気な表情のいい男なのだが、体中から発する覇気がただ者ではなく、さながら王の風格を漂わせる。 事実、九鬼家は、この地を陰から支配する、古い一族の末裔である。 その九鬼は、すっと立ち上がり一人の男の前に立った。 「……で、どう落し前を付ける気だ? 所長」 ドカッ! 突如、容赦のない蹴りが入る。 所長は、腹を抑えながら、必死な形相で続けた。 「うぐっ……その、閣下、も、申し訳ありませんでした!」 「次、同じミスをしたら、貴様には舞台から消えてもらう。言っている意味は分かるな?」 「は、はい!!」 九鬼は、横の男に声を掛けた。 「組長」 「はっ!」 ガタイのいいその男は、体を縮こませ更に平伏した。 「侵入者の始末はお前達の仕事だったはずだ、なぜ、奴らを逃した?」 「それが、思いの外手強く……かなりの手だれかと」 九鬼は、組長の頭の上に足を乗せ、ドン、とそのまま畳に踏みつぶした。 組長は、汗をダラダラと流し必至に耐える。 「見苦しいぞ、組長。次は奴らを生きて帰すな。一人残らずだ」 「はっ、必ずや……」 九鬼は、さらに次の男に目を向ける。 「さて、署長」 「はっ」 署長は、ビクっと体を震わせてた。 「……どうやら、警察内部に内通者がいるようだ。我々の情報が筒抜けだ」 「な、なんと……それは、ま、誠に申し訳ございません」 署長の顔は蒼白になった。 恐怖で、体が小刻みに震えている。 九鬼は、署長の肩に手を置いた。 「まぁよい。それより、すぐに内通者の特定を急がせろ」 「はっ、捕まえて拷問の上、洗いざらい吐かせます!」 「待て、泳がせろ。そして、偽の情報を掴ませるんだ。奴らを一網打尽にする。いいな」 「はっ、仰せのままに」 署長は、へなへなと力が抜け崩れ落ちた。 九鬼は、次の男の前に立った。 「あとは……資金不足の件だな。頭取、金を集めろ。今の倍だ」 「しかし、これ以上の融資は、我々としても……」 頭取は、土下座のまま、丸い眼鏡をクイっと上げた。 声が震えている。 「おいおい、この計画の成否が掛かっているのだぞ? 喜んで差し出すぐらいの気持ちがあって然るべき。そうなんじゃないのか? あん?」 「は、はい。承知致しました。喜んで融通致します」 九鬼は、男達を見下ろして怒鳴った。 「もうよい、お前ら、退がれ! 二度と不始末は許さぬ。よいな!」 「は、はっ!」 **** 男達は、廊下をいそいそと進む。 恐怖から解放されたからか、口数が増えた。 「……それにしても、ここのところ荒れてますな、閣下は」 「しーっ、声が大きい……聞こえますよ」 「す、すみません。私とした事が……しかし、このプロジェクトって意味わからないですよね。『男性妊娠に関する研究』って。何の儲けになるんでしょう?」 「さぁ……まぁ、スパイが入り込むぐらいですから……それなりに価値があるのでしょう」 「知ってますか? この計画って、あの若造市長が閣下に吹き込んだらしいですよ?」 「それは、本当ですか!? なんて、いまいましい男なんだ。余計な仕事を増やしやがって!」 「全く、あの男が市長になってから、ろくな事になってない。どうして閣下は、あんな若造に肩入れするんですかね」 「さぁ。まぁ、我々は閣下のいう通りにするしかないわけで」 「ですねぇ……」 「はぁ……」 男達は、屋敷の大きな門を潜り抜けていった。 **** 一方、九鬼は自室に戻っていた。 ヴィンテージの家具に囲まれた、古きよき時代を彷彿とさせる書斎。 九鬼は、大きな椅子に体を預け、先ほどの件を思い起こしていた。 「……ったく、使えない奴らだ。早くいい結果を出さないと、あいつを失望させてしまうではないか」 イライラが顔に出ている。 「……それにしても、いつになったら、あいつは来るのだ? 様子を見に来てもいい頃じゃないのか? ずっと顔も見てないんだぞ。チッ、子憎たらしいやつだ。何か罰を考えないとな……」 九鬼は、無意識に、袖机の一番下の引き出しからあるものを手に取った。 それは、市長のものと瓜二つの巨根バイブ。 九鬼は、それを手にした途端、体のスイッチが入る。 全身が火照り、下腹部がジンジンと疼く。 「はぁ、はぁ、許さない……ひょっこり現れて頼み事しにきても、絶対に受けてやらぬ……」 そのバイブをツーっと舐め始めた。 ぴちゃ、ぴちゃ、と音を当てて、大事そうに愛撫する。 そして、ついに我慢が出来なくなると、衣服の下を脱ぎ去り、それを体内に押しやった。 瞬く間に、アナルの中に飲まれていく。 「はぁ、はぁ、許さないぞ……私をこんなにして……絶対に……うっ、いくっ」 **** 扉をノックする音が聞こえた。 「閣下……宜しいでしょうか」 「……何だ」 いきの余韻に浸っていた九鬼は、スッとバイブを引き出しにしまった。 ガチャ。 側付きの男が部屋に入ってきた。 「神治様が参っております。火急の用事とかで。閣下にお目通りを希望しています」 (やっと来たか!) 冷めた体が再び熱くなる。 九鬼は、冷静を装う。 「何の用だ?」 「新しいご依頼のようで……直接、閣下にお話ししたいとの事です」 「ほう、そうか」 (ふふふ、結局、私を頼るしかないのだ。あの男は) 勝ち誇った顔。 自尊心がくすぐられる。 側付きは、九鬼の表情を察して言った。 「出直すように伝えましょうか?」 「待て! 今、たまたま時間がある。オホン、仕方ない。会ってやろう」 「今すぐにですか? しかし、閣下、これから大使とのお約束が……」 「そっちはキャンセルだ。いいな?」 「はっ」 側付きは、それ以上余計な事は言わず部屋を出て行った。 **** 神治が九鬼の前に現れるのはしばらく振りである。 九鬼は、一人叫んだ。 「やっと来たか、来たか、来たか! 随分と待たせやがって……おのれ、私をこんなに気持ちにさせて、ただでは置かぬぞ!」 九鬼の心は、少年の頃のワクワク感で満たされていた。 あまりの嬉しさに、ふと、神治と出会った頃の事が脳裏に浮かんだ。 (そうだ、あいつが最初に私の前に現れたのは3年前だったな……あの晩の事だ) 九鬼の想いは、過去へと飛んで行く……。 **** 市内で最も高級なホテル。 有力者が一堂に会し、九鬼家への忠誠を誓う会が開かれていた。 それは建前。 実際には、裸体の男女が重なりうごめく、乱交パーティーである。 スイートルームの一室。 そこに九鬼の姿が有った。 股ぐらには、当時市長だった若い男が顔を埋める。 九鬼のいちもつを丁寧におしゃぶりしているのだ。 「唇を突き出し、舌を上手く使え」 「はい、九鬼様……」 前市長は、九鬼のお気に入りの一人である。 「さぁ、もっと私を満足させてみろ」 「かしこまりました……ちゅぱ、ちゅぱ……」 九鬼は、男の頭を抑え、股間をぐいぐい押し付ける。 男は、がほっ、と苦し気に咳き込み、涎を垂らしたが、表情はうっとり顔。嬉しそうに九鬼を見上げた。 (私好みの男ではある。顔だけじゃない。市長としてもなかなか有能。私の手足となって市政を取り仕切る素晴らしい操り人形……なのだが) 九鬼は、場所をベッド移した。 股を開き、秘部を指で開いてみせる。 「さぁ、挿れてこい。私を欲しかったのだろう?」 「はい! 九鬼様。光栄です!」 男は、九鬼に飛び付いた。 **** 男同士の熱いセックス。 しかし、九鬼は、心の中ではどこか冷めている自分がいるのを知っていた。 「もっとだ。もっと早く腰を振れ」 「はい、九鬼様!」 「よし、突き上げろ! 奥までだ! いいぞ」 (太くて固いペニス。こっちの方も悪くない) 「……九鬼様……もう私は」 「だらしが無いぞ、まだだ」 九鬼は、男の首をギュッと締めた。 男は、ううっ、と唸り、射精が延命される。 「はぁ、はぁ……ありがとうございます」 (素直でもある) 「九鬼様! 九鬼様! 私はもう……」 「……そうか、仕方ない。いいぞ、出せ。私の中に。思いっきり」 「九鬼様! 九鬼様! 出しますっ」 **** 九鬼の体に抱き付く。 「九鬼様……愛しております」 「ふっ、そうか」 「はい」 九鬼は、男の頭を優しく撫でながら、遠くを見つめた。 (可愛い男だ。しかし、物足りぬ……) 九鬼は、すくっと立ち上がった。 男は驚いて目を見開く。 「九鬼様、どちらへ?」 「少し夜風に当たる」 「では、お供いたします」 「よい。今日はゆっくり休め」 「はい……」 **** ホテルの最上階にある空中庭園。 九鬼は、そのテラスで、街の夜景を眺めていた。 ほぼ手中に収めた世界。 すべてが思い通りのはず。 なのに、満たされない気持ち。 それが何なのか? 九鬼が、物思いにふけっていると、後ろから声を掛けられた。 「失礼します、貴方は、九鬼の御当主様とお見受けしますが?」 「お前は、誰だ?」 「私は、神治(かみち)神治 和真(かみち かずま)と申します。お初にお目に掛かります」 その男は深くお辞儀をした。 若く、整った顔立ち。 黒いスーツ。すらっとした体格。 ごくありふれた普通の男のように見えるが、その目だけは、今まで見たこともない鷹のような鋭い目つきをしている。 「神治 和真? 聞かぬ名だな。パーティーの出席者ではないとすると……つまりは……侵入者という事だな。誰か! 曲者だ! ひっ捕えろ!」 当然、九鬼の回りにはボディガードがついている。 九鬼は、彼らに号令を掛けた。 が、反応がない。 「な、見張りは、どうなっている……」 「ああ、黒服の皆さんはお疲れの様子でしたね。ぐっすり眠っておられるようです」 九鬼は、一瞬怯んだが、直ぐに冷静さを取り戻した。 「薬か……なるほど、ただのネズミではないようだ。で、何の用だ? 金か?」 「実は、お願いがあって参りました」 神治は、不敵な笑みを浮かべた。 **** 九鬼は、神治に問いかけた。 「市長選に?」 「はい。次の市長選では、是非私の後ろ盾になっていただきたい」 「市長になりたかったら、私ではなく、市民に訴えるのが筋ではないか?」 「ご冗談を。陰の支配者たる貴方様の意向無くして票が集まりましょうか? 市長になれましょうや?」 「ふふふ、バカでもないか。なるほど……で、お前を市長に推して私に何の得がある」 「貴方様の心を満たして差し上げます。今まで味わった事がない快感で」 九鬼は、呆れて苦笑した。 「……なかなかの度胸だな。私が満足できなければ、願いが叶うどころか、お前に未来はないが……その覚悟はあるのか?」 「はい。その時は、煮るなり焼くなり、ご自由にどうぞ」 月明かりが神治の顔を照らす。 自信満々な顔。 「いいだろう。試してやる」 (恐れを知らぬ、若造が。世の中には想像も出来ない絶対的な力がある事を思い知らせてやる) **** 部屋に場所を移した。 九鬼は、手錠を掛けられことに不満の意を表した。 「これは何のつもりだ!」 「お気になさらず。気分的なものですから……貴方を快楽に導く必須アイテムですので……」 九鬼は、腑に落ちずに、文句を重ねるつもりだったが、裸になった神治の体を見て言葉を失った。 (何という大きさ……) 股間には、既に勃起したイチモツが有った。 見たこともないようなスケールである。 九鬼は、ゴクリと唾を飲みこんだ。 「では、さっそく……」 神治は、それに唾液を塗りたくり、おもむろに九鬼の秘部にあてがった。 九鬼は、驚いて叫ぶ。 「バカもの!! そんなものが挿いるか……ぐふ」 手錠がガチャガチャと鳴る。 声なき悲鳴が上がった。 九鬼は、気絶しそうなのを何とか耐えた。 耳元で、神治が囁く。 「どうだ? 巨根の味は?」 口調がすっかり変わっている。 九鬼は、その変化に気が付く間もなく、つづいて始まった神治のピストンによって意識の境界を彷徨う。 極太の男根が、メス穴になった男の肛門をメリメリと拡張しながら、所狭しと出入りを繰り返す。 九鬼は、ようやく声が出せるようになり叫んだ。 「やめろ! 苦しい。い、痛い……抜け! 命令だ! 貴様は、私の言う通りにしろ!」 「ガーガー喚くなって……やはり、さるぐつわが必要だな」 「んー!!」 神治は、さるぐつわ姿になった九鬼を満足気に見つめる。 再び、突き上げを開始する。 「それにしても、キツくてよく締まるいいケツマンコだぜ。あんた中々の名器だな」 (これでは単なるレイプ。こいつは私を嬲りたいだけなのか……断じて許せぬ。殺してやる。絶対に殺す。私にこんな無礼を働いた奴を生かしておくか) 九鬼は、神治を睨む。 それに気が付いた神治は、九鬼の頬を手の甲でぺちぺち叩きながら言った。 「恨めしいか? 大丈夫だ。すぐに気持ちよくなる」 パーン! 神治は、挿入しながら、思いっきり九鬼の尻を叩いた。 「あははは、良い音だな。気持ちいいか? いいよな?」 体の自由はなく、叫ぶ事もできず、好き放題に犯さている。 九鬼は、この状況に口惜し涙をこぼした。 この若造の口車に乗って、体を許してしまった自分に、後悔しかない。 神治の声が耳に入る。 「ほら、だんだん馴染んできたじゃないか。ビクビクと痙攣も止まらない。感じているんだろ? あん?」 そう言われて、ハッとした。 いつの間にか、体が熱くなってムラムラと欲情している。 お気に入りの男達に抱かれている時のよう。 いや、それ以上。 下腹部に沸々と得体の知れない何かが溜まってきている。 性欲の塊のような卑猥なもの。 (何だこれは……なんて、気持ちいいんだ……変になる……) いつの間にか、九鬼は、神治の腰の振りに合わせ自分の腰を振っていた。 「そろそろ頃合いだな……」 神治は、九鬼のさるぐつわを外した。 「うっ、うう……」 ヨダレがダラダラと垂れた。 そして、か細い喘ぎ声が漏れ始める。 「さぁ、これからが本番」 (……気持ち良すぎて気が遠くなる……これまでのセックスは何だったのだろう) アナルの肉壁が全て性感帯になり、出入りで擦れるだけで、痺れるくらい気持ちいい。 九鬼の変化を察した神治は、ニヤッと笑い、そのまま唇を合わせた。 「どうだ? これが本物のセックスだ。気持ちいいだろう?」 九鬼は、見透かされまいと顔を逸らした。 神治はそれを許さない。 「俺が聞いているんだよ! おら!」 思いっきり巨根を押し込んだ。 狭い穴を引き裂くように突き進む。 それは、体の芯まで到達した。 「うぐっ……」 ビクビクビクっと快感が駆け上がる。 と、その時、九鬼の勃起ペニスの先から、透明な汁が漏れ出た。 ピュッ。 神治は、それを手に絡めとり、ペロリと舐めた。 そして、当たり前かのようにキスで九鬼の口へと戻す。 「ふふふ、お前は潮吹き体質のようだな? なら、もっともっと洪水にしてやるよ!」 敏感になった先っぽを乱暴に手のひらでこねくり回す。 「あっ、やめろ……」 プシュ、シャーッ。 「……何故だ、何故、私はこんなに感じてしまっている」 「分からないのか? ふっ……教えてやるよ」 神治は、耳元でささやいた。 「あんたの周りは、恐らくイエスマンばかりなんだろ。思い通りにさせ征服欲を満たしてきた。しかし、それでは本当の快楽を味わう事は出来ない。自分の想像を超える圧倒的な強者に身を委ねてこそ初めて得られる。だから、俺がお前の初めてになってやろうってんだ。感謝しろよ」 それからは、神治の独壇場。 尻を思いっきり叩いたと思えば、唾液たっぷりの甘いディープキス。 そして、耳たぶを甘噛みしながら金玉を握り潰す、といった具合だ。 まさに飴と鞭。 その間も、ムキムキの肉棒が男の膣穴を蹂躙し続ける。 イキ顔を晒しながらも、それでもプライドを賭け、必死に絶えていた九鬼だったが、とうとう根を上げた。 「……き、貴様、許さん、私は絶対に許さんぞ……いく、いく、いくーっ」 絶頂に達する。 かと思われた。しかし、突如、神治のピストンが止まった。 あと、もうひと擦りの所で。という寸止め。 「な、なぜ、途中でやめる」 「最後は俺におねだりしてみろ。イカせて下さいご主人様、とな」 「何だと! 貴様如き若造が! 調子に乗るなよ」 「ふう……なら、ここまでだな」 体が、スッと離れていく。 アナルの中を埋め尽くしていた肉塊は、今や外へ出ていた。 体中から神治の体温が失われ、九鬼は、寂しく切ない気持ちに襲われた。 空っぽになった感覚。 自分を包み込んでくれた存在に初めて気がついたのだ。 離れたくない。 離れないでくれ。 九鬼は、歯ぎしりをした。 (何故、私はそんな事を思ってしまう……こんなやつに……) 理性では分かっているのだが、もう止まらない。 九鬼は、悔し涙を湛えて言った。 「ま、待ってくれ……」 「何だ?」 「……さ、最後までイカせて下さい……ご主人様」 九鬼の頬に涙が伝う。 神治はサディスト独特の見下す笑みを浮かべ、九鬼の頬のそれをペロリと舐めた。 そして、勃起したモノをヒクつく穴へ再挿入する。 「ふふふ、そこまで言われたら……据え膳食わぬはと言うしな。望み通りしてやんよ! おら!!」 渾身の突き上げ。 「……うぐっ」 九鬼の背は大きく弓なりにしなり、ガタガタと全身が振え、そして絶叫をあげた。 「ヒィ、ヒィ、あううっ、い、いくーーっ!」 九鬼は、気を失った。 **** そんな事があり、神治は、危なげなく市長に当選した。 九鬼の元を訪れた神治は、恐れる素振りも見せず九鬼の正面にドカと座った。 「いろいろと世話になったな、九鬼」 「いいか!! 私のお陰だと言う事を忘れるなよ」 九鬼は、神治の太々しい態度に苛立ちを隠さずに怒鳴った。 「ああ、感謝してるよ。ほら、褒美に抱いてやる。服を脱いで、ケツを出せよ」 「貴様……」 九鬼は、神治を睨む。 しかし、九鬼は無意識に衣類を脱ぎ捨てていた。 そして、激しい男同士の交じりが済むと、神治は、 「さて、次も頼むぞ、九鬼」 と平然と言う。 九鬼は、 「き、貴様、いつも私が言う事を聞くと思うなよ!」 と喚き散らかすが、神治の一言。 「いいから、こっちに顔を向けろ」 で、キスが始まると、九鬼は、性の快楽の悶え悦ぶ淫乱顔を晒し、それを受け入れた。 **** 「……閣下……閣下?」 ハッとした。 過去の自分から戻ってきた。 「ん? 何だ?」 側付きは、お辞儀をしながら言った。 「神治様が応接室でお待ちです」 「そ、そうだったな……ああ、そうだ。先日大臣が持参した菓子があっただろ? あれを用意しろ」 「はっ」 「それとな……今日の私の格好はどうだ? おかしくないか?」 「いつもの通り、凛々しく高貴なお姿ですが……何か?」 「なに、大した事はない……うむ、では行こう」 (火急の用事か……神妙な顔で私に懇願してくるに違いない。ふふ、今度ばかりは、例え簡単な頼み事でも絶対に聞く耳を持つまい。悔しがる姿が目に浮かぶ。ふはははは) **** 神治の第一声は軽いものだった。 「久しぶりだな、九鬼。寂しかったか?」 「な!?」 (こいつ、私の事を舐めてやがる。裏社会の帝王と言われた私のことを……本当に頭に来るやつだ) しかし体は素直。 喜びのあまり股間の物は、むくむくと勃起した。 にやける顔を引き締めて言い放った。 「ふん、私は忙しい。手短に話せ」 チラッ、と神治の様子を覗き込む。 相変わらずの冷ややかな目つき。 しかし、それは今の九鬼にとっては欲情を誘うご褒美の一つ。 ドキドキをひた隠しに神治の言葉を待った。 「そうか……では、早速だが頼み事がある」 「受ける気はない……だが、話だけは聞いてやる」 「この計画を全面的にバックアップしてほしい」 バサッ。 神治は、書類を床に放った。 (何という無礼。私に拾って読めというのか?) ギロリと睨む。 しかし、体は素直にそれを拾っていた。 目を走らせる。 『男祭り復興計画』 計画の概要が記されていた。 『男祭り』は、鎌倉初期に始まったとされるこの地域の伝統的な祭り。 市の繁華街を使っての大規模イベント。 商工組合、金融、小売、町内会、関係役所、その他数えきれない程の関係者を巻き込む、大がかりなプロジェクト。 九鬼は、書類から目を離し神治を見た。 「『男祭り』? こんなものを復興してどうなる?」 「お前は、理由なんて知らなくていい。ただ俺の言う通りにすればいいんだ。出来るな?」 「出来るが……お前の頼みなど、最初から聞く気などない。残念だったな。ふふふ」 「そうか?」 神治は、九鬼の目の前に迫った。 「……む、無駄だぞ」 九鬼の言葉など耳に入らない。 あごをしゃくられ、そのまま唇が合わさった。 **** 九鬼は、デスクの角に突っ伏され、立ちバックで挿入された。 「あっ、あっ……奥まで……くる」 「くっ、よく締まっていい。俺のを咥え込んで離さない……ふふ、そんなに寂しかったか? 大分ご無沙汰してたもんな! オラ!」 突き上げの度にデスクの角に股間が直撃する。 勃起した竿やらパンパンに膨れた玉やらが、容赦なく押し潰される。 「い、痛い……やめろ。つ、潰れる……」 「いいじゃないか? 金玉潰れたら俺の情婦になれ。可愛がってやる」 「……何だと!?」 (こいつの情婦に……私が?……そうしたら毎晩抱かれて……ああっ、そんな……) 「いくぜ」 九鬼は、既にメスイキに達していた。 ヨダレは止まらず、ペニスの先からは、ピュ、ピュっと潮を吹きまくる。 (頭の中がぐるぐる回る。もう、何も考えられない……) 「中出しするぞ、俺の子種をありがたく受け取れ!」 「うぐっ……は、はい……ご、ご主人様……ヒィ、ヒィ……」 ピュ、ピュピュッ……。 九鬼の精子はデスクの上いっぱいに広がった。 **** 当初、突飛と思われた市長発案による『男祭り』だが、数々の困難を乗り越え、いよいよ開催まで数日という所まできていた。 街は、興奮と期待で沸きに沸いていた。 そんなとある日の午後。 九鬼は、庭園のベンチに座り、ゆったりと茶をすすっていた。 側使いが、どこからともなく現れ、丁寧にお辞儀をした。 「閣下、所長が報告に参っています」 「通せ」 所長は、姿を現すとすぐさま土下座をし、額を地面に擦り付けた。 「申し訳ありません! まだ、計画の半分も進んでおりません……どうか……お許し下さい!」 所長の汗がポタポタ落ち、地面を湿らす。 おそらく蹴飛ばされるだろう。 今日は、顔か、腹か、それとも尻か。 そんな事をビクビクと想像していた所長だったが、九鬼の言葉に耳を疑った。 「……そうか、まぁ、そういう時もある。男性妊娠に関する研究……時間を有するのは当然。次、来る時は、いい報告が出来るようしっかりと頼む」 「え!?」 所長は顔を上げた。 そこには、見たこともない穏やかな顔をした九鬼の顔があった。 所長は、思わず再び地べたにおでこを付けて叫んだ。 「はっ、はー。閣下の意に沿えるよう、全力で頑張ります!」 **** 九鬼は、所長の背中を見送り、ふと空を見上げた。 雲一つない、いい天気である。 今回の仕事は、九鬼の力を持ってしてでも困難を極めた。 今は、自分を労いたい気持ちでいっぱいである。 「ふぅ、そうだ。男祭りが終ったら、あいつを別荘にでも誘うか。一晩限りの情婦。悪くない。ふふふ。ここまでしてやったんだ、嫌とは言わせないぞ、神治」 九鬼は、何食わぬ顔で、既にアナルの奥まで挿し込んでいる神治サイズのバイブのスイッチを、ゲージマックスまで引き上げた。

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