263 / 292

番外編 オメガバース 梓side

*** 目を開けると体が酷くだるかった。 隣で眠る志乃も俺も裸のままで、そんな志乃に抱きしめられて眠っていた。 「······み、ず」 声を出したらいつもと全く違う枯れた声をしていて、吃驚した。 上手く言葉が話せなくて、今回も散々泣いてたんだなぁと自覚する。 「ん······梓······?」 「しの」 「······は、声枯れてんな」 髪を撫でられて、また強く抱き締められる。心地よくて腕の中で微睡んでいると、「もう治まったか?」と優しく聞いてくる。 「ぁ、うん······お陰様で······」 「可愛かったな。まだ抜くなとか、もっと奥までとか、イかせてくれとかって」 「〜〜っ!!」 恥ずかしくて志乃の胸を叩くと、低く喉で笑われる。 「水飲むか?」 「飲むっ」 ベッドサイドに置いていた水を取って、ペットボトルのキャップを外し、口元で傾けてくれる。ごくごくと飲むと喉が潤って、少しつっかえたような感覚が取れた気がした。 「ん、ありがとう」 「ああ。」 元の場所にそれを戻し、志乃も元の体勢に戻った。俺を抱きしめたまま離れようとはしない。そうしているうちに、中で出されたそれが出てくるのがわかって、「あ······っ」と声が漏れた。 「ん、何?」 「あの······出てきた、から······」 「ああ、そういやそのままだったな。······出すついでに風呂入るか」 志乃が「待ってろ」と言って寝室から出ていった。追いかけようとベッドから降りると、腰が立たなくてストン、と床に座り込む。 「っえ!?」 毎度毎度そうなんだけど、あまりの力の入らなさにそのまま動けない。 そんな時「梓ぁ」と俺の名前を呼びながら、志乃が戻ってきた。 「······何してんのお前」 「追いかけようとしたら立てなくて······」 「当たり前だろ。1週間はヤリっぱなしだったんだぞ」 志乃に抱っこされて、ベッドに戻される。 肩に頬を擦り付けると「よしよし」って髪を撫でられて、まるで小動物になったような気分だった。 「赤ちゃん、できたかなぁ」 「······そうだといいな」 志乃に抱きしめられて、その温かさにやっぱりまた少し眠たくなったのだった。 番外編 オメガバース END

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!