1 / 292

第1話

ここら一帯の街を支配するのは眞宮(まみや)組。 そこの若頭である眞宮 志乃(しの)は、深い夜に突如街に現れる。 整った容姿。 鋭く切れ長の目に睨まれたら最期、なんて事を誰かが言っていた気がする。 そして俺は今まさに、そんな鋭い目に睨まれている。 「テメェ巫山戯てんのか?」 「···巫山戯てない、です」 「なら、これは何だ」 目の前にあるのは犬用の食器に入れられたご飯。朝それを用意されたけれど、こんなの食べる気にならないから存在を無視してた。 「·········」 「また黙りか。」 「···こ、これ」 「あ?」 口を開いて言葉を言うと低い声が返ってきて身体が震える。 背中側で拘束されてる両手は、使えなくて殴られたとしても何処も守れないから怖くて仕方ない。 「これ、犬用、だから···」 「手が使えねえんだ。這いつくばって食え。」 「···っ、と、とって、欲しい、です」 「そしたら逃げるだろうが」 軽く頬を叩かれる。 それだけでも怖くて涙が滲んだ。 「さっさと食え」 「···し、志乃、さん」 「あ?」 「···怒らないで···お願い、します」 そうお願いしながら目を合わせると、志乃さんの顔が近づいてきて唇に志乃さんのそれが合わさる。 「怒らない。だから食え。出来るな?」 「は、い」 床に置かれたそれに顔を突っ込む。 味がしない。けれどこうしたら怒られない。それならもう従っていればいい。 ムシャムシャと食べてると頭を撫でられて、この人には俺が本当に犬に見えているんじゃないかって思った。 「(あずさ)」 「はい」 ご飯を食べ終わって顔を拭かれたあと、志乃さんが俺を抱っこしてベッドに連れて行く。 ああ、また、するんだ。それは俺がすごく嫌な行為でいつも苦しくて、気持ちよくて···頭がおかしくなりそうだ。 「5分だ。我慢出来るな?」 「っ、ぅ、は、はい···」 横向きに寝かされ、服を脱がされて膝を胸まで曲げる様に指示されてその通りに動く。 晒された後孔につぷっと入ってきたのは浣腸で、中に液体を入れられる。 これから起こる腹痛に5分も耐えないといけない恐怖。 息が浅く早くなって、志乃さんは俺の背中を撫でて待っている。 「ぅっ、ぐ、ぅぅっ···!」 突然お腹に痛みが走って呻いた。 ガシャ、ガシャっと手首の拘束が音を立てる。 志乃さんはどこか遠くを見ては、たまに俺を見て俺の体を撫でる。 「ぁ、ひぃ···だ、したい···出したい、志乃さっ、だ、だしたい···!」 「あと2分ある。もうちょっと待て」 「い、たいぃっ、痛い、お腹···ぁ、あぁぅ···!」 溢れてくる涙がシーツを濡らす。 志乃さんはそんな俺を見て溜息を吐いた。

書籍の購入

ともだちにシェアしよう!