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第1話
ここら一帯の街を支配するのは眞宮 組。
そこの若頭である眞宮 志乃 は、深い夜に突如街に現れる。
整った容姿。
鋭く切れ長の目に睨まれたら最期、なんて事を誰かが言っていた気がする。
そして俺は今まさに、そんな鋭い目に睨まれている。
「テメェ巫山戯てんのか?」
「···巫山戯てない、です」
「なら、これは何だ」
目の前にあるのは犬用の食器に入れられたご飯。朝それを用意されたけれど、こんなの食べる気にならないから存在を無視してた。
「·········」
「また黙りか。」
「···こ、これ」
「あ?」
口を開いて言葉を言うと低い声が返ってきて身体が震える。
背中側で拘束されてる両手は、使えなくて殴られたとしても何処も守れないから怖くて仕方ない。
「これ、犬用、だから···」
「手が使えねえんだ。這いつくばって食え。」
「···っ、と、とって、欲しい、です」
「そしたら逃げるだろうが」
軽く頬を叩かれる。
それだけでも怖くて涙が滲んだ。
「さっさと食え」
「···し、志乃、さん」
「あ?」
「···怒らないで···お願い、します」
そうお願いしながら目を合わせると、志乃さんの顔が近づいてきて唇に志乃さんのそれが合わさる。
「怒らない。だから食え。出来るな?」
「は、い」
床に置かれたそれに顔を突っ込む。
味がしない。けれどこうしたら怒られない。それならもう従っていればいい。
ムシャムシャと食べてると頭を撫でられて、この人には俺が本当に犬に見えているんじゃないかって思った。
「梓 」
「はい」
ご飯を食べ終わって顔を拭かれたあと、志乃さんが俺を抱っこしてベッドに連れて行く。
ああ、また、するんだ。それは俺がすごく嫌な行為でいつも苦しくて、気持ちよくて···頭がおかしくなりそうだ。
「5分だ。我慢出来るな?」
「っ、ぅ、は、はい···」
横向きに寝かされ、服を脱がされて膝を胸まで曲げる様に指示されてその通りに動く。
晒された後孔につぷっと入ってきたのは浣腸で、中に液体を入れられる。
これから起こる腹痛に5分も耐えないといけない恐怖。
息が浅く早くなって、志乃さんは俺の背中を撫でて待っている。
「ぅっ、ぐ、ぅぅっ···!」
突然お腹に痛みが走って呻いた。
ガシャ、ガシャっと手首の拘束が音を立てる。
志乃さんはどこか遠くを見ては、たまに俺を見て俺の体を撫でる。
「ぁ、ひぃ···だ、したい···出したい、志乃さっ、だ、だしたい···!」
「あと2分ある。もうちょっと待て」
「い、たいぃっ、痛い、お腹···ぁ、あぁぅ···!」
溢れてくる涙がシーツを濡らす。
志乃さんはそんな俺を見て溜息を吐いた。
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