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俺とアキ 1
「うっ…さっぶう!…寒すぎるぅ…」
ちーんと滴る鼻水をぐすりと啜り直し、外に出た事を今更後悔してしまった。肌を刺す様に鋭く冷たい風が全身を包み込み、一気に体温を奪い去っていく。ドアを開けた瞬間に感じたのだ、これはヤバいやつだと。
けど、まあ…この程度の距離ならきっと耐えられる。と進み出したは良いものの、しかし、寒すぎる。
後ろを振り返ってみれば、もう既に後戻りをしてしまう事も躊躇してしまうほどに中途半端な距離、そして吹き荒れる風に、遂にはポキッ、と心の折れる音まで聞こえてしまった。
「⋯急がなきゃ、いけないのに…」
―数十分前―
「ね〜え、アキ!!俺ならぜんっぜん大丈夫なんだってばぁ!ほら、見て!熱もちゃんと下がってるの!」
「…⋯んなカッスカスの声でよく言えたもんだわ。残念でした、用が済んだならさっさと戻る」
「はぁああ?もう疲れたんだけどぉ…昨日からずぅ〜っと寝てばっかでつまんない。体が固まって石像になっちゃいそうなんだってばぁ」
ぶーぶー、と愚痴を漏らしても、平熱を示す体温計を目の前に掲げても、一言たりとも聞く耳を持たない所か視線さえ合わせてくれない。信用も無いとか終わってる。俺は大きなため息をひとつ、はぁ、と吐き出した。
急な高熱でぶっ倒れてしまった俺を朝まで丁寧に看病してくれたアキには感謝してもしつくせない位、十分に有難く思っている。頭の中では分かっているのだ。そんな所が好きで好きでたまらない。
だけど、限度というものは俺にもちゃんとある。ある程度熱も下がり、元気だってモリモリだ。だが、ベッド生活3日目ともなると身体がムズムズして仕方がない。自由に動き回って、好きなことをしたい。
少しだけで良いから、と先程から何度も交渉しているが、それでも目の前のこの男はそれを一切許さず、昨日から口を開けば必ず出てくる言葉は「寝ろ」の一言。
過保護すぎませんかねえ〜?俺だってそんな小さい子どもでも無いし寧ろ立派な17歳なんです〜。⋯⋯って言ったって、無駄か
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