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27.不可解な感情(1)*
* * *
マティアスがぷるぷると震える昂ぶりをわし掴みにし、ゆっくりと動かし始めた。
「あ、つ……ぃ、イヤぁ」
「大丈夫。最初から激しくしたら流石の稀人でも痛みで死んじゃうから、ゆ~っくり味わわせてあげるよ」
「いや、……ぃ、いッ──~~ッ、」
じゅこ、じゅこ、と、度数の高い酒が粘膜に浸透するよう、じっくりと塗り込められて、リョウヤの腰ががっくんがっくんと跳ねた。敏感な神経を剥き出しにされていくような感覚に、自分の意思とは関係なく体の痙攣が起きているのだろう。
拘束するアレクシスの方にも力が必要なほどだった。
「だ、めぇ……いだ、ィ、い、ァ」
「んー、本当に痛いだけかな? もっと弄ってほしいってここはぴくぴくしてるのに」
「ちが、う、ぅ、ァ、あ」
「ウソばっかり。先っぽからもすっごく溢れてきてるし、割れ目をこうやってくるくるされると……ふふ、たまらないだろう?」
「ァあッ──! しな、でぇ……そ、れぇ、だ、めっ、ダメ、ァ、あ……っ」
にゅるっと深く包み込まれ、皮の隙間を広げるように上下され、また先端を包まれ……常軌を逸脱するほどの強い刺激のせいか、割れ目から透明な体液が崩壊したダムのようにダラダラと零れている。
「お、たっぷり溢れてきた。そろそろじっくりふやけたかな──じゃあそろそろ、本番と行きましょうか」
マティアスは一切の容赦を捨てて、リョウヤのそれをじゅこじゅこと扱き上げた。
「きゃッ……ァぁあ──ッ!!」
右に左に、また右に、リョウヤが髪を振り乱す。
「あはっ、きゃあだって。女の子みたいな声だしちゃって可愛いね、もうお酒で酔っちゃったのかな?」
「ん……は、ぁああっ……し、しぬ、死ぬ、ぅ……!」
「だから大丈夫だって、飛び降りたあの子も死ななかったんだから……その時は、ね」
「いた、ひ、ぁづ、あつ、い、いた、あッ──」
熱い、痛い、熱いと叫ぶリョウヤは既に正気を失っていた。もはやそこに矜持や気高は微塵もなく、壊れて踊り狂う子供のオモチャのようだった。羞恥だとか恐怖だとか、そんなものを考える余裕すらなさそうだ。
「痛くない痛くない、熱くてキモチイイだけだよ。ほらほら……ほぅら」
「ッ……!!」
「うっわ、見てくれよアレクシス。触れてもいないのにぶるんぶるん左右に揺れてるよ、面白いねぇ!」
無邪気にリョウヤの痴態を愉しむマティアスとは反対に、リョウヤの大きく見開かれた黒い瞳はぐらぐらと揺れ、ぱかりと開かれた口の端から、舌が今にも零れてしまいそうだ。
「あ……は、ぁ、っ、ア、んぁ……は、ぁっ」
濁音混じりだったリョウヤの声に、どろっとした蜜が混ざり始めた。痛みを超えた先にある、熱さ。アルコホルで感度が増すというのは本当らしい。ツンとした匂いと濃くなった香りが混ざり、周囲に漂って鼻がひくつく。
「いい声になってきた。ウィスキーぶっかけられてぐちゅぐちゅ扱かれるの、すごいイイだろう?」
「ぁあ、ぁ……あっ……うあぁ」
一気に色をなくしていた頬も、いつのまにか赤く火照っていた。ぺちんとマティアスがリョウヤの陰紋を軽く叩くと、突き入れている膣がぐねぐねと蠢き、そこからもじゅわっと蜜があふれてくる。
「ふふ、このまま一回出させてあげようかな。構わないかい?」
「……好きにしろ」
低く返す。答えるや否や、マティアスはさっさとリョウヤを絶頂へと促した。濡れそぼった先端は、激しい刺激にぱくぱくと閉開し、今すぐにでも弾けてしまいそうだった。リョウヤはもう抵抗らしい抵抗もできないようで、はぁはぁと忙しない呼吸の合間にひぐ、詰まったような悲鳴を漏らしていた。
両の胸も、触れられてすらいないというのにぷるぷると上を向いていた。
この細い体は、もう強制的に与えられる快感に乱れるだけだ。よりにもよって、マティアスに植え付けられて花開いた、初めての快楽に。
「ほら坊や、サービスだ。盛大にイッていいよ」
「はっ、あ、ぁ、う……で、る……ぅ、あ、でちゃ……ああ」
「うんうん、このままいっぱいおもらししちゃおうね」
「や、ぁあ、もら、すっ、の……ヤぁッ、ぁあ」
「どうして? 愛しのご主人様のを咥えながら盛大に射精しちゃいなよ。坊やの子種なんて、他に使い道もない無駄なものなんだからさ……ほら、さっさと出しな?」
根本からぎゅうっと強く絞られて、リョウヤの肺が大きく広がった。イキたくないとか細く喚きながら、自ら腰を上へと突き出しているリョウヤの姿は、滑稽の一言に尽きた。
「……──ッ゛、ァ、ひぃ……ぁあ、んあ──ッ」
マティアスが手を離したのと、ぶるんと前後した陰茎の先から、びゅるるっと噴水のような白濁が飛び散ったのはほぼ同時だった。
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