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第5話
「だから……絶対、友達のままでいようって思ってたんだ……」
俯いた顔からポタポタと雫が落ちてきた。
ああ、泣いてるんだ、って気が付いてもどうしたらいいか分からなくて津島をぼんやり眺めていた。
「あの噂、一つだけ本当なんだ」
自分の手のひらで涙を何度も拭いながら津島は嗚咽を我慢するように言った。
「俺、ゲイなんだ……」
津島の告白はそんなに驚く事じゃなかった。あの噂が流れ始めた頃の津島は噂を肯定も否定もしなかった。少なくとも俺が知る限り一度も否定の言葉を口にしなかった。
だから何となく、もしかしたらそうなのかな、とは思っていた。だから津島は同性にも異性にも分け隔てなく優しく出来るんじゃないかって。
「それが何だよ……。何か問題あんのかよ」
別に津島が同性愛者だって俺は構わない。それで津島との関係が壊れるなんて思わない。
むしろ、やっと言ってくれて嬉しいくらいだ。
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