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第6話

「俺、そんな事で津島を嫌いになったりしないし。そういうの全部引っ括めて友達だって思ってる」  きっとまだマイノリティには生きにくい世の中だ。津島だって苦しんで来ただろう。  だったらせめて俺の前ではそんな事隠さないで津島らしくいて欲しいと望むのはおかしい事だろうか。 「……違うんだ、佐伯。違うんだよ……」 「違うって、何が?」  短気な性格がイライラさせる。一体何が違うんだ? 何て言えば津島は泣き止むんだ? 「俺は佐伯が好きなんだ」  やっと顔を上げた津島はもう泣いていなかった。  ただ、しっかりと俺の目を見て、唇を噛み締めて小さく震えていた。 「ずっと、佐伯をそういう風に見てた。だけど、言うつもりはなかったんだ。佐伯の一番の友達で居たかったから、一生言わないつもりだった」  じゃあ何で今、そんな事を言うんだ?  お前はどこか遠くに行って、もう二度と俺に会うつもりはないんだろう?  俺に津島の気持ちへの答えを考える時間も与えないまま、お前は遠くに行ってしまうのに、何で今好きだなんて言うんだ? 「気持ち悪いよね……ごめん。佐伯は俺を信じてくれていたのに……。俺はずっと佐伯に自分の気持ち、嘘ついてた……」 「……津島……」 「ごめんね……でもどうしても言いたかったんだ。今言わないともう言えないと思ったらここに来てた。会えなくなる前に佐伯に伝えたかったんだ」  本当にもう俺に会うつもりがないんだな、と実感した。  俺が津島の告白を受け入れても、津島はもう俺に会うつもりはないんだ。それどころか告白の返事も求めてないんだ。

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