「気持ち悪いなんて思わない」 　どうやったら津島と離れずに済むんだろう。 　行くな、傍にいろと無理やり抱きしめたら居なくならないのだろうか。 　あの時の様に必死に追い回したらそのうち絆されて遠くに行くのをやめるだろうか。 「お前の気持ち、嬉しいよ。津島みたいないい奴に惚れられて嬉しくない訳ない」 　それが恋愛感情に発展するかと言われたら、今はまだわからない。直ぐに答えを出すには俺には時間が足りなすぎる。 「少し考えさせてほしい。だから、答えが出るまで待ってくれないか？　それまで遠くに行くの待ってほしい」 　ちゃんと考えるから何処にも行かないでほしい。 　いつも隣で優しく笑っていて欲しいんだ。 「佐伯、ごめんね。待つのは無理なんだ。俺、もう行かなくちゃいけないんだ。だから、返事はいらない。俺が佐伯を好きだった事だけ言いたかっただけだから」 「そんな勝手なことっ……」 「うん、自分勝手で最低だよね。本当に……ごめんね」 　謝られたらそれ以上責められない。 　津島には津島の事情があって、それは俺がどんなに嫌だと言ってもどうしようもないことなんだ。