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第8話

「本当にもう……会えないのか?」 「うん、会えない」 「俺がお前を好きだって言っても?」  俺の言葉に津島は笑った。今まで見た事がないくらい哀しくて切ない笑顔だった。 「そうだったら嬉しいけど、でも佐伯が俺をそういう風に見てないのは分かってるよ」 「……今はそうかもしれないけど、先はわからないだろ」  同性同士の恋愛がどんなものか詳しくは知らないけど、これから知っていけばいい。ちゃんと知りたいと思ってる。 「……佐伯、あのね、俺には先がないんだ。だから、ごめんね」 「津島っ!!」  立ち上がった津島は俺に背を向けて玄関へと早足で掛けていく。追いかけようと俺も立ち上がろうとして、急に目眩に襲われてしまう。  玄関のドアを開けて出ていく津島の後ろ姿をクラクラと目を回しながら見つめていた。 「津島っ」  パタンとドアが閉まって津島がいなくなった部屋に携帯の着信音が鳴り響いた。  けれど俺は酷い目眩で動けなくなって、そのまま意識を失ってしまった。

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